児童発達支援管理責任者(児発管)の研修制度が変更になり、これまでにはなかった「更新研修」が新しく設定されました。
受講しないと児発管としての資格が失効してしまうので、対象者は必ず受講することが推奨されています。
今回はそんな「更新研修」の中身について、詳しく解説していきます。
児童発達支援管理責任者(児発管)の更新研修とは?
児発管 研修制度の見直し
平成30年度(2018年度)までは、児童発達支援管理責任者として配置された後に受講が必要な研修は設定されていませんでしたが、
実践の積み重ねを行いつつ児童発達支援管理責任者のスキルアップを目的として、平成31年度(2019年度)から新しく更新研修が設置されました。
下記の図に記載の通り、児発管として配置された後でも5年ごとに受講が必要となります。(引用:東京都福祉局内の「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修の見直しについて」pdf)
【要注意】「5年ごと」の厳密な意味
児発管の更新研修は5年ごとに受講が必要ですが、5年に1回受講が必要というわけではありません。
非常にややこしいですが、厳密には「5年度間のうちに更新研修を1回受講すればよい」ということになっています。(以下の図を参照)
実践研修修了の年度を起点として、5年度の枠ごとに受講していれば問題ありません。
上記図にも記載の通り、1回目と2回目の更新研修の間隔が6年以上になってもOKな場合もあります。
ただ、5年に1回の間隔で受講すれば確実に要件は満たしますので、安全です。
基礎研修と実践研修がない時代に研修を修了された方は、令和5年度(2024年3月31日)までに更新研修を受講する必要があります。
以降は、令和5年度を起点として、上記のように5年度の枠ごとに受講してきます。
更新研修の対象者
ここまでの話を踏まえると、児童発達支援管理責任者(児発管)の更新研修の対象者は以下のようになります。
過去5年度間(※詳細はこちらで説明)のうちに更新研修を受けていない方で、以下に該当する方。
- 平成30年度(2019年3月31日)までにサビ管・児発管になるために必要な研修(旧体系)を修了した方。
- 平成31年度(2019年4月1日)~令和3年度(2022年3月31日)までに児発管の基礎研修を修了し、かつ、基礎研修修了から3年以内に実践研修も終了した方。
- 令和4年度(2022年4月1日)以降に児発管の基礎研修と実践研修を修了した方。
特に①の方は注意が必要で、令和5年度(2024年3月31日)までに更新研修を受講する必要があります。
もし受講できなかった場合は、以下のようになってしまいます。
児童発達支援管理責任者が更新研修を受けないとどうなる?
資格失効
もし定められた期間内に更新研修を受講できなかった場合、児童発達支援管理責任者としての資格が失われてしまいます。(=正式な児発管として配置できないことになります)
個別支援計画作成など、児発管業務をできる状態であっても、制度上は正式な児発管として認められません。
そうなると、たとえば、児発管として配置されていたからこそ支給されていた役職手当などが出なくなり、給料が大きく落ちる可能性が非常に高いです。
【参考】児発管、児童指導員、保育士の給料比較表。(引用元:児発管平均年収を解説した記事)
令和4年(2022年)12月 | 平均月給額 | (平均月給×12) | 平均年収額
児童発達支援管理責任者 | 371,320円 | 4,455,840円 |
児童指導員 | 305,130円 | 3,662,560円 |
保育士 | 327,820円 | 3,933,840円 |
再度資格を取得するには
児童発達支援管理責任者として再度配置されるためには、実践研修を受講し直す必要があります。(基礎研修は不要)
「なんだ、もう1回実践研修を受ければいいのか」と思うかもしれませんが、更新研修を受けるまでは正式な児発管ではありませんので、
法人は代わりの正式な児発管を配置する必要が出てきます。
同法人内の別施設から異動してきてもらうのか、新規採用するのかは状況によって異なりますが、少なくとも何らか手間をかけさせてしまうことになります。
さきほど説明した給料が落ちること以外にも、デメリットが多いため、必ず規定の期間に受講するようにしましょう。
更新研修を受講できなかった方の体験談
平成30年度(2019年3月31日)までに児発管になったAさんは、令和5年度(2024年3月31日)までに更新研修を受講する必要がありました。
しかしながら、申し込みを忘れてしまい、令和5年度までの研修受講が出来ないことが確定してしまいました。
(※)令和5年度の更新研修申し込み〆切は秋に終了していることがほとんどです。たとえば、大阪の〆切は9月11日、神奈川の〆切は9月1日でした)
つまり、2024年3月31日をもって、児発管としての資格が失効されます。
その状態で転職先を探していたAさんでしたが、転職先から提示されるポジションは児発管ではなく児童指導員です。
もちろん、次の実践研修を修了すれば児発管として正式配置はできるのですが、裏を返せばそれまでは児発管としての配置はできない状態です。
児童指導員となると、児発管よりも大きく給料が下がってしまうため、Aさんは非常に困ってしまいました。
転職を決意したものの、更新研修の申込忘れで理想の転職先どころか今よりも待遇が悪くなってしまう転職先しか見つからず、
一旦転職を休止することになってしまいました。
児発管の更新研修の内容
更新研修は合計13時間かけて実施されます。
カリキュラムは以下のようになっています。(参照:国立障害児リハビリテーションセンター資料「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者 更新研修」)
障害福祉施策の最新動向についてりかいすることで、利用者の置かれている制度的環境の変化を理解する。
事業所としての自己検証(演習)、サービス管理責任者としての自己検証(演習)、関係機関との連携(演習)。
サービス管理責任者としてのスーパービジョン(講義)、事例検討のスーパービジョン(演習)、サービス提供職員等へのスーパービジョン(演習)、研修のまとめ
まとめ
今回は児童発達支援管理責任者の更新研修について解説しました。
受講を忘れてしまうと、資格失効し、さまざまな不利益を被ってしまうため、必ずスケージュールを確認して申し込み・受講を忘れずに行いましょう。
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