放課後等デイサービス・児童発達支援事業は、利用料の一部を公費で負担しています。
これに伴い、事業者側には利用者への直接の請求だけでなく、国が補助する分を受け取るための国民健康保険連合会(いわゆる「国保連」)への請求業務も生じます。
この手続きは、場合によっては児童発達支援管理責任者(児発管)が行う場合もあり、大変で面倒な作業になってしまうこともあります。
ただ、請求作業は一見難しそうに見えますが、しっかりとした流れやコツなどを把握すればスムーズに終えることが出来ます。
この記事では、請求業務の流れや重要なポイント、効率よく仕事を進めるためのコツをわかりやすく解説していきます。
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請求業務のスケジュール感と流れ
国保連に対する請求を行う際には、基本的に国保連が提供する「簡易入力システム」や「取込送信システム」を用いてインターネット上での請求が求められます。
これらは、国保連の「電子請求受付システム」というウェブサイトから取得できます。
近年では多くの福祉請求ソフトが提供されているので、各事業所が使用する請求ソフトの手順に沿って作業します。
また、請求業務のスケジュールは下記のようになっています。
実績記録票の整理はサービス提供月の月末日、上限額管理関係の整理は翌月1日~5日くらい、国保連への請求は10日までにそれぞれ進めます。その後、保護者への請求があります。
それでは、それぞれの業務内容について、詳しく解説していきます。
児発管の心得 請求業務の内容とポイント
実績記録票の確認
実績記録票とは
実績記録票とは、例えば下記のようなものになります。(引用:厚生労働省HP)
サービスの提供実績として、開始&終了時間・送迎の回数・食事提供加算などの項目を記入するものです。
それぞれ形は似ていますが、児童発達支援と放課後等デイサービスで記録すべき項目が少し異なりますので、使用する実績記録票の記入内容は必ず事前に確認しておきましょう。
また、保護者等の確認印をいただく必要もあります。本来は利用日ごとに押印されるものですが、忘れてしまった場合などはその月中に揃えられるようにしてください。
ポイント
記入のタイミングは事業所ごとに流れがあり、手のすく時間を利用し早めに記入をすることがあるかもしれません。
しかし利用者様の急な欠席や早退、通常はおやつを提供するがこの日は食べなかった、などイレギュラーな対応をする日も多々あります。
また対応するスタッフが途中で入れ替わり、引継ぎが十分にできていない可能性もあります。
もし実績記録票への記入内容が間違ったまま請求に反映してしまうと、後に発覚したとき、利用者様や関係機関からの信頼を失いかねません。
また、直しの連絡・作業が増えてしまいます。
そのような事態を予防するためには
「1日の終わりに複数のスタッフでダブルチェックをする」
「変更や書き直しを誰でも確認できる場所を作る」
など具体的な対策を行い、必ず事実と齟齬のない記入ができるシステムを作りましょう。
利用者負担額一覧表・利用者負担上限額管理票の提出と受け取り
利用者負担額一覧表・利用者負担上限額管理票とは
複数の事業所を併用する利用者様それぞれについて作成し、その事業所間でやり取りをする書類です。
具体的には以下のような書類になります。(引用;新潟市 障害福祉に関する様式集)
利用者様の自己負担額は、複数の事業所を利用しても受給者証記載の上限日数を超えない限り変わりません。
そのため、複数事業所間で利用者様から重複して利用料を徴収しないようにし、1か所の事業所で支払いができるよう、利用日数などの情報を事業所間で共有する必要があります。
それを管理する事業所が、上限額管理事業所(上限額管理者)です。
自分の事業所が上限額管理を担当するかどうかで発生する業務が変わってきます。
業務内容
〈上限額管理をしている場合〉
他の事業所から利用に関する「利用者負担額一覧表」を受け取ることになります。
その利用者様が利用するすべての事業所からの「利用者負担額一覧表」が揃ったら、その情報をもとに「利用者負担上限額管理票」を作成し、すべての他事業所へ送ります。
〈上限額管理をしていない場合〉
上限額管理をしている事業所へ「利用者負担額一覧表」を送り、
あとは「利用者負担上限額管理票」が送られてくるのを待ちます。
上限額管理事業所は、原則として利用日数が最も多い事業所になります。
ですから、一つの事業所内に上記の業務が混在していますが、慣れればどの利用者様にどちらの作業が必要なのかは自然に覚えてきますので、心配いりません。
また、利用者様の希望で利用日数のバランスが変わることがあり、それに伴い上限額管理事業所も変更される場合があります。その際は上記作業も入れ替わります。
他事業所間でのこの上限額管理に関するやり取りが終わったら、国保連への請求作業が始められます。
ポイント①
上限額管理に関する書類のやり取りは、「他事業所からの書類が来なければ次の作業に進めない」という仕組みになっています。
前月分の利用についての書類を月初めにやり取りするので、月末処理は月末日にきちんと終えておき、お互いができるだけスムーズに請求作業を進められるようにしましょう。
ポイント②
たくさんの個人情報を何通もやり取りしますので、送信先や利用者様を間違えることがないよう、送信前にもう一度丁寧に確認しましょう。
逆に、もし間違った書類を受け取った場合は速やかに先方へ知らせてください。より慎重に扱うために、利用者名の一部を伏字にする方法もあります。
国保連へ請求データ送信
請求データ内容
以下の書類に不備がないか確認し、送信します。(参考:厚生労働省ページ)
- 障害児通所給付費等請求書
- 障害児通所給付費等明細書
- サービス提供実績記録表
- 利用者負担上限額管理結果票
※上限額管理事業所となっている場合
請求作業には請求ソフトを使用し、指定された手順に従って行えば問題ありません。
しかし扱う情報が多いため、ミスが起こることもあります。
その際には訂正作業が発生しますが、そちらも手順が決まっているので、慌てずに取り組みましょう。
追加業務
返戻
送信内容に不備があると「返戻」という請求の差し戻しがあります。
その後正しい情報をもう一度提出するのですが、返戻の通知は次の請求作業時に受け取るため、返戻の対象となった児童分の入金が予定より1か月遅れます。
返戻はコード表示されるので、自分の都道府県における返戻コード一覧表を確認する方法があります。
それでも返戻の理由がわからないときは、対象となる利用者様の受給者証を発行している市区町村に問い合わせ、正確に理由を把握できるように対応してください。
過誤請求
すでに支払いが確定した請求内容について、事業所側から取り消し依頼することです。
このケースは多くありませんし、市区町村によって対応が違うこともあるようです。
過誤請求が必要になった場合は、対象となる利用者様の受給者証を発行している市区町村に問い合わせ、確認することをおすすめします。
ポイント
児発管も経験した筆者が実際に起こしてしまった返戻の理由は、
“請求が重複している”
“事業所番号が間違っている”
などです。
請求の重複は、利用者様がダブルブッキング(一つの事業所でキャンセル料が発生し他事業所で利用料が発生)していることが多いです。
事業所番号については、上限額管理で関わっていた他事業所の事業所番号が変わっていて知らされておらず、請求ソフトに登録されている古い番号のまま入力していたという理由です。
事業所番号が変更されることは滅多にないため、理由の特定にかなり時間を要しました。
他の返戻理由も、受給者証の有効期限切れ・利用内容の変更など、多くは利用者様の情報を正しく把握できていないことです。
返戻が起き得ることを想定し、日頃から理由になりそうなことをなくしていけば、返戻を最小限に抑えることができます。
利用者様への請求
国保連への請求が終わると、正式に利用者負担額が決定するので利用者様への請求が開始できます。
それぞれの利用者様へ請求書を渡していきましょう。
まとめ
請求作業と聞くと荷が重い印象があったと思います。
たしかに作業量や細かい確認は多いですが、ポイントを押さえれば効率化できます。請求の基本的な仕組みと、請求ソフトのマニュアルを理解すれば大丈夫です。
また、利用者様情報の収集や実績記録票の記入のように、児発管よりも現場のスタッフたちが日々の中で行う方が、効率がいい部分もあります。
スムーズで正確な請求作業の流れを保つために、自分の事業所で改善・工夫できるところを見つけ、スタッフ全体で意識作りをすることがおすすめです。
ただ、どうしても請求業務を負担に感じられている方もいらっしゃると思います。
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また、請求業務の有無以外にも、転職をする際には事前にチェックするポイントがいくつかありますので、ぜひ以下の記事をご覧ください!
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