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【分かりやすく解説】モンテッソーリ教育とは?【具体例やメリット・デメリットも】

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イギリス王室のウィリアム王子やヘンリー王子、オバマ大統領、ビル・ゲイツ、藤井聡太…。

彼らの教育背景には、一風変わった教育法が影響を与えていました。それが「モンテッソーリ教育」。この独特の教育手法は、子どもの自主性を重視し、無限の可能性を信じ、それを引き出そうとするものです。

では、モンテッソーリ教育がどのようなもので、なぜ藤井聡太のような才能を開花させるのに役立つのでしょうか。その魅力と秘密を探っていきましょう。

目次

「モンテッソーリ教育」とは?【概要と歴史】

「モンテッソーリ教育」とは、イタリアの医師であるマリア・モンテッソーリによって開発された教育方法です。

この教育の中心的な考え方は、「子どもは自ら学ぶ主体」ということ。

大人の役割は、子どもが自分で学び取ることができる環境を提供することにあります。個別にそれぞれが興味のあることや、やりたいことを思う存分できる環境で、子どもの個性や特性を大切にして、一人ひとりを尊重することが、モンテッソーリ教育の特徴です。

モンテッソーリ教育の目的は「自立していて、有能で、責任感と人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間に育てる」こと。この目標を達成するために、さまざまな工夫がこらされた環境で教育が行われます。

マリア・モンテッソーリってどんな人?

“Education is a natural process carried out by the child and is not acquired by listening to words but by experiences in the environment.”

(教育は子ども自身によって行われる生得的なプロセスであり、教えられることによってではなく、環境の中で自ら経験を積むことによって獲得されます。)

Maria Montessori, Education for a New World

それでは、モンテッソーリ教育はどのようにして始まったのでしょうか。

まずは、創始者であるマリア・モンテッソーリの経歴や人物像、教育思想を紹介します。

マリア・モンテッソーリは1870 年に生まれ、イタリアで医学の学位を取得した最初の女性です。彼女はローマ大学卒業後、知的障害をもった子どもたちの治療教育に携わり、実験心理学、教育学にも研究分野を広げました。

そして1907年、彼女はイタリアのローマのスラム街、サンロレンツォに開設された「子どもの家(Casa dei bambini)」という教育施設の監督指導を任されます。

ここには貧しい3歳から7歳の子どもたちが50人ほど通っていたそうです。ここで彼女は障害児教育で培った自身の教育法を健常児にも適応する機会を得ました。この教育法が「モンテッソーリ教育」です。

出典:http://www.montessori.edu/maria.html

モンテッソーリの教育思想

1909年にマリア・モンテッソーリは「子どもの家」で実践した教育法を記した「Il Metodo della Pedagogia Scientifica applicato all’educazione infantile nelle Case dei Bambini」という最初の本を出版しました。

この本の英訳された題名は「The Montessori Method」で、最初の5,000部はたった4日間で完売したそうです。

この本にはマリア・モンテッソーリの「子どもは、自らを成長・発達させる力をもって生まれてくる。大人(親や教師)は、その要求を汲み取り、自由を保障し、子どもたちの自発的な活を援助する存在に徹しなければならない」という基本的な考え方が記されています。

またモンテッソーリの教育法では、子どもたちを「自立していて、有能で、責任感と人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間に育てる」ために環境を整え、以下5つの分野の教育を行います。

1, 日常生活の練習

モンテッソーリ教育の目標の一つである「自立」を達成するため、子どもたちは以下のような「日常生活の練習」を行います。幼児期はどんなことでも真似をしたがる「模倣期」であり感受性が高まる「敏感期」でもあることから、これらの特性を利用して秩序だった動作や身のこなしを伝え、「やりたい」と思ったことができるようになるための基本的な能力を身につけることはとても効果的なのです。

  • 立ち方、座り方などの基本動作
  • 挨拶などの社交的な振る舞い
  • 水のやり方や掃除の仕方など、環境への配慮
  • 簡単な料理や洗濯など、身の回りの家事
  • 手の洗い方など、自己への配慮
  • 他の人を助けたり親切にしたりすること

2, 感覚教育

感覚教育とは、おもちゃなどを利用して視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚といった、五感を刺激して鍛えるということ。

感覚教育は感覚を刺激することによって抽象的な概念を理解し、世界を理解していきながら、物事を秩序立てて思考できるようになることを目的とします。

3, 言語教育

モンテッソーリは「コミュニケーション能力は社会生活の基礎であり、思考を伝えるための道具である言語は、人間にとって大切なものである」と考え、言語教育も重要視していました。

言語教育におけるモンテッソーリ教育の特徴としては、発達の順番について一般的に考えられている「聞く」→「話す」→「読む」→「書く」ではなく、「聞く」→「話す」→「書く」→「読む」と捉えていることが挙げられます。これは、「書く」ことに対する興味が「読む」興味よりも先に生じると考えていたからです。

言語教育では絵カードや文字カードなど、それぞれの発達段階にあった道具を使って語彙を豊かにしていくことを目指し、最終的には文章を正しく組み立てて伝えられるようになることを目標とします。

4, 算数教育

算数教育では、具体的な認識から抽象的な認識へ、理解を深めていくことを目的としています。

モンテッソーリの算数教育の特徴は、感覚教育と繋がっていること。具体的に感覚で捉えられる「量物」、量を言い表すための「数詞」、書き表すための「数字」の3つの概念を徐々に理解していき、やがて足し算や掛け算など抽象的な思考へと進んでいきます。

5, 文化教育

文化教育は、植物学・動物学・地理・歴史・道徳・音楽・体育、また生命の神秘への興味や芸術など多岐にわたります。これまでに挙げた「日常生活の練習」や「感覚教育」「言語教育」「算数教育」の基礎の上に立って、人々や文化の大切さに気が付き、どうして学ぶのか、学んだことをどのように生かしていくのかを考える上で文化教育は重要な役割を担います。

出典:https://amshq.org/About-Montessori/History-of-Montessori

   平川裕貴『モンテッソーリ教育で伸びる子を育てる!』、株式会社 彩図社、2018

モンテッソーリ教育5つの特徴

続いて、これまで紹介してきた子どもたちの豊かな学びを実現する、子どもたちが主体となって自由に学ぶためのモンテッソーリ教育の特徴を4つ、解説していきます。一般的な日本の幼稚園との違いもわかりやすく説明します。

1, 個別活動で、好きなことを好きなだけ!

モンテッソーリ教育の一番の特徴は、なんといっても「個別活動」です。

一般的な日本の幼稚園や保育園では「おうたのじかん」「おえかきのじかん」というように、あらかじめ活動内容が決められた設定保育という形で、クラス全員で決まった時間に同じ内容を経験させることが多いです。

一方モンテッソーリ教育では、子どもたちは「日常生活の練習」のコーナーでも「算数教育」のコーナーでも、どこでも自分の好きな興味のある活動を選んで活動することができます。

もちろん、それぞれのコーナーで過ごす時間に制限はなく、納得するまで一日中同じ活動を続けても、さまざまな活動を転々としても良いのです。

また、同じコーナーで過ごしても、同じ活動を強制することはなく、一人ひとりの自発的な活動を尊重します。

2, 異年齢混合の縦割りクラス

0歳から6歳までを発達段階ごとに0〜3歳、3〜6歳の前期と後期に分け、3歳児から6歳児までが同じクラスで一緒に学ぶ、縦割りのクラス編成をしていることもモンテッソーリ教育の特徴です。

一般的な日本の幼稚園では、年齢ごとにクラスが編成されますが、モンテッソーリ教育では異なる年齢の子どもたちが一緒に過ごします。

これによって小さな子は大きなお兄さんやお姉さんの活動を見て学ぶことができ、大きな子は年下の子どもの世話をすることで互いに学び合って成長していくことが可能です。

また、幅広い年齢の子どもたちが一緒に活動することで、自らの能力に制限をかけることなく、いくらでも挑戦できる環境を提供できます。

3, 子どもの興味と能力を引き出す「教具」

モンテッソーリ教育では、子どもが自主的に遊びたくなるような様々な教材や道具が必要です。これらのことをモンテッソーリ教育では「教具」と呼びます。教具は、次のような基準で作られています。

  • 子どもが手に取りやすいサイズであること
  • 色や形が魅力的で子ども達が手に取ってみたいと思うもの
  • 教具の数は1セットずつとし、他の子が使っていた場合は順番を待つ必要があること
  • おもちゃではなくできるだけ本物(ガラス、銀、銅、木)であること
  • 上質で清潔であること

モンテッソーリ教育の教具は、使うことで身体的な能力と認知や理解に関する概念的な能力の両方を育成することができるように設計されています。ここでは、いくつか具体的な教具を紹介します。

〈ピンクタワー〉

一辺の長さが1cmずつ異なる10個の立方体。積み上げたり並べたりすることで、微妙な大きさや体積の違いに気づき、同時に集中力や観察力などを養うことができます。

実態認識袋と幾何学立体

袋の中にいろいろな形のものを入れて、手探りで当てます。指先の感覚を養ったり想像力を働かせたりするきっかけになります。袋の中に入れる立体は、円柱・円錐・直方体・三角錐などさまざまなものがあります。

温感板

材質によって暖かさが異なることを体感させる道具。6種類の材質が異なる板が2枚ずつあり、目隠しをして同じ材質を当てたりして使います。ガラスやコルク、鉄、フェルトなどで作られています。

音感ベル

16個のベルがあり、それぞれ台座がついています。ベルは「ドレミファソラシド」の音階で2セットあり、同じ音をペアにしたり音階の順に並べたりして音感を鍛えることができます。

紹介した教具は一例であり、他にもさまざまな感覚器官を鍛える面白い教具がたくさんあります。また、これらの教具には難しい名前が付けられていますが、メーカーや名称に囚われず、家庭にあるお菓子の空き箱や缶、身近な食材や日用品で十分代用することが可能です。

参考文献:平川裕貴『モンテッソーリ教育で伸びる子を育てる!』、株式会社 彩図社、2018

4, 子どもを尊重し、サポートする教師

モンテッソーリ教育では、大人の役割は子ども達を教え導くことではありません。自発的に学べる環境を整え、子ども達の後押しをして、サポートすることです

また、モンテッソーリ教育に携わる教師には免許があります。日本においては、国際モンテッソーリ協会(AMI)が認定する国際免許と、日本モンテッソーリ協会日本モンテッソーリ教育総合研究所が発行する、日本独自の資格があります。

モンテッソーリは、「モンテッソーリ教師の実践上の心得12条」を伝えています。この内容からも、子どものサポートに徹する教師のあり方が伝わってきます。

「モンテッソーリ教師の実践上の心得12条」

1.環境の整備
2.教具・教材をはっきり正確に提示する~子どもが仕事をはじめるとき
3.子どもが環境との交流をもち始めるまでは積極的に、交流が始まったら消極的に接する
4.物を探している子どもや、助けの必要な子どもの忍耐の限度を見守る
5.原則として、呼ばれたところに必ず行く
6.子どもに誘われたときは、子どもの要求を、言葉で直接表現されない要求までも含めて、よく聞いてやる
7. 仕事をしている子どもを尊重する
8.間違いはあからさまに訂正しない
9. 休息している子どもには、無理に仕事をさせない
10.作業を拒否する子どもや理解しない子どもは、忍耐強く誘いつづける
11.教師は自分を探す子どもに存在を感じさせる
12. 教師は、仕事を終えた子どものところに姿を現す

※「仕事」というのは、子ども達の行動や学び全般を指します。

このようにモンテッソーリ教育では、「個別活動」「縦割りクラス」「豊かな教具」「子どものサポートに徹する教師」の4つの特徴があります。これらの子ども達が自発的に活動できる、自由が保証された「整えられた環境」を提供することで、子どもに生まれた時から備わっている「成長する力」を最大限発揮できるようにしているのです。

モンテッソーリ教育のメリット・デメリット

最後に、モンテッソーリ教育のメリットとデメリットとなる可能性がある部分をいくつか紹介します。

モンテッソーリ教育はとても魅力的な教育法である一方で、もちろん場合によっては合わないお子様がいらっしゃったり、デメリットが発生したりする可能性もあります。メリットとデメリット、お子様の特性をよく考慮した上で、無理なく生活に取り入れていくことが大切です。

メリット

自分で考えて行動できる子どもになる

モンテッソーリ教育は、教師が子どもを教え導くのではなく、子どもたちが自分のペースで学び、興味を持ったことを納得いくまで探求することを奨励します。これにより、自分で考え、判断する力が養われます。

実践的な能力が獲得できる

実際に日常生活の中で使う物や「本物」を使って学ぶことで、日常の生活スキルや手先を使った作業の技術を自然と身につけることができます。これによって子ども達は、自立し、自分に自信の持てるようになることが期待できます。

バランスよく様々な能力が成長する

モンテッソーリ教育で子ども達は、縦割りのクラスの中で子ども主体で関わり合います。これにより、ただ知識を蓄えるだけでなく、コミュニケーション能力や責任感など社会的なスキルや感情の制御、集団の中で役割を果たす自己認識など、人としての成長に必要な能力をバランスよく育てることができます。

デメリット

協調性が身につかない可能性がある

モンテッソーリ教育では、一人ひとりの個性の尊重が重視されるため、どうしても個人で作業する時間が長くなりがちです。自分のペースで、自分の興味があることにだけ一人で集中する時間が長くなることで、お友達と強調する姿勢が育みづらい場合があります。

強い精神力や我慢する姿勢が身につかない可能性がある

自分の得意なことに没頭できる環境は素晴らしいですが、時には苦手なことにも我慢して取り組んだり、うまくいかなくても粘り強く続けたりする体験も重要です。また、子ども同士の関わり合いの中で、思い通りに行かないことを学んでいく必要もあります。自分のやりたいことだけを追求するモンテッソーリ教育では、強い精神力を獲得しづらい可能性があります。

活発な子どもには合わない可能性がある

モンテッソーリ教育では、室内での教具を使った活動の時間が長くなりがちです。もしかすると、室内でパズルやブロックなど手と頭を使う遊びをするよりも、外で走ったり跳んだりして体を動かす遊びをする方が好きな子どもにとっては物足りなく感じてしまうかもしれません。また、一つのことに自発的に没頭することが得意な子どもばかりではなくそれも子どもの大切な個性であるため、子どもの様子に注意しておく必要があります。

まとめ

モンテッソーリ教育は、子どもの自ら学んでいく力を信じ、そのための環境を与えて一人ひとりの個性を尊重する教育方法です。「日常生活の練習」「感覚教育」「言語教育」「算数教育」そして「文化教育」を通じて、自立していて、有能で、責任感と人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てることを目指しています。

モンテッソーリ教育のメリット・デメリットを理解し、無理のない範囲で生活に取り入れることで、子どもの自主性やさまざまな実用的な能力など、これからの社会で求められる能力を育成できると期待できます。

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