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【基本から解説】主体的・対話的で深い学びとは?

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主体的・対話的で深い学びについて具体的な事例も解説

近年、教育現場では主体的・対話的で深い学びの重要性が強調されています。文部科学省も学習指導要領の改訂において、知識の習得にとどまらず、生徒が自分で問題を解決し、意見を出し合い、主体的に学びを深めるような授業を導入するよう呼びかけています。(平成29・30・31年改訂学習指導要領(本文、解説))

このような学び方には、従来の一方的な知識の伝達では得られない、新たな気づきや発見があるため、今後ますます注目されることが予想されます。

そこで本記事では【主体的・対話的で深い学びについてチェックしておくべきポイント】を紹介していきます。

目次

主体的・対話的で深い学びとは?

主体的・対話的で深い学びってそもそも何?

主体的・対話的で深い学びは、主に3つの要素に分解することができます。

  • 「主体的な学び」:生徒自身が課題を設定し、学びの意義や目的を見出し、自己実現を図る学び。
  • 「対話的な学び」:複数の人々がお互いに意見を出し合い、課題解決に向けた共同作業を進める学び。
  • 「深い学び」:現象や事象の本質的な理解を深め、高次の思考力を育成する学び。

文部科学省ウェブサイト「新学習指導要領について:学びの内容の充実・変革について」

学習指導要領の改訂に伴い、2020年度から小学校、21年度から中学校、22年度から高校にて始まりました。

構成する3つの要素を詳細に解説

ここでは3つの要素について、それぞれ詳しく紹介します。

主体的な学び

主体的な学びは、自ら考え、自ら行動する学びのことです。

この学びを実践する上で、教師は生徒たちが自分で学ぶ環境を作り、サポートする役割を持ちます。

主体的な学びを行うことで、生徒は自分のペースで学ぶことができ、自分自身で問題を解決するスキルを身につけることができます。

主体的な学びを実践するため、教師は様々な工夫を授業に施し、生徒の学習意欲の向上に努めています。

例えば、グループワークなどを通じて、生徒たちに自分で問題を解決するプロセスを経験させる授業があります。

また、主体的な学びの目標として、自己のキャリア形成の方向性を思い描き、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげることが挙げられます。

対話的な学び

対話的な学びとは、教師や他の生徒、または地域の人々などとの対話を通じて自分自身の考えを深め、自分なりのアイデアを持つことを目指す学びのことです。

子どもたちは教師や大人が与える答えや解釈に追随するのではなく、自分自身の考えを持って、相手と話し合いながら学びを進めることが重要です。

そのためには、教師がただ一方的に話すだけでなく、子どもたちの発言を引き出し、尊重し、議論を促進させることが必要です。

例えば、地域の歴史や文化などについて調べ学習を行った後は、子どもたちがディスカッションを行う場を設け、互いに意見を出し合える環境を提供します。

「社会に開かれた教育課程」として、地域と一体になって行われる学びの重要性も学習指導要領で言及されています。

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こうして積極的な意見交換を促すことで、子どもたちは自分の意見を述べる力を養い、相手の意見を理解する力も身につけることができます。

深い学び

「深い学び」とは、単に知識を覚えて増やすだけではなく、自分自身で考え、自らの人生につなげることができる学びのことを指します。

「深い学び」は、単に情報を収集することではなく、その情報を整理し、自分自身の知識と経験を基に問題解決のための考え方を身につけることが重要です。

具体的には、自己の内面を見つめること、情報を正確に理解し、独自の視点で問題を考え、解決する力を養うことが求められます。

また、このような深い学びは、単なる学問の範疇に留まらず、社会や地域の問題にも取り組むことが求められます。

そのため、地域の課題や社会問題について学び、その解決に向けた取り組みまで経験することが大切です。

主体的・対話的で深い学びの効果

主体的・対話的で深い学びを実践することで、子どもは自分自身で問題を解決したり、他者との対話を通じて、自分なりのアイデアや考えを持つことができるようになります。

主体的・対話的で深い学びを実践すると、具体的には以下の能力を高めていくことができます。

  • 人間性の育成
  • 問題解決能力
  • 言語能力や情報活用能力

人間性の育成

人間性の育成は教育における大切な使命です。人間性とは、他者を尊重し、思いやりを持って行動する心や、自己のアイデンティティを確立し、個性を大切にすることなどを指します。

テストの点数のような客観的に”見える”力ではなく、「非認知能力」と呼ばれる”目には見えない”力が育まれます。

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人間性を育成するためには、教育現場での対話やコミュニケーションが大切です。対話を重視し、クラス内でのグループワークや議論の場を設けることで、他者を尊重し、思いやりを持って行動することができるようになります。

問題解決能力の育成

問題解決能力とは、問題を見つけ、分析し、解決するための能力のことであり、大切なスキルの一つです。教師は子どもたちに対して問題意識を持つように促し、問題解決のプロセスを経験する機会を提供することで、問題解決能力を目指しています。

具体的には、グループワークやプロジェクト学習を通じて、子どもたちは自分自身で問題を発見し、課題解決に向けたアプローチを考えます。また、近年は子どもたちの問題解決能力を高めるために、ICTの利活用も進められています。

言語能力や情報活用能力の育成

言語能力は、コミュニケーションを円滑に行うために欠かせないものです。

また、情報活用能力は、現代社会において必要不可欠なスキルであり、情報を正しく理解し、必要な情報を取捨選択し、効率的に活用することが求められます。

このような能力を育成するため、教育現場では、授業でのディスカッションやプレゼンテーションを通じて、自分の考えを明確に伝える力や、聞き取り・理解力を養うことを目指しています。

情報化が加速する中で、信頼できる情報源の選び方や、情報の正確性を確認するための方法を学ぶことも、この取り組みにおける大きな意義となっています。

以上3つの能力は、子どもが成長し、将来的に社会に出て活躍していくためには必要不可欠です。

知識を得るだけではなく、他者を尊重したり、自ら考えて行動できる人材が増えていくことが期待されます。

参考 文部科学省 国立教育政策研究所 【学習指導要領を理解するためのヒント】

小学校での実践例を紹介

では、実際に学校教育機関がどのような学びを実践しているのか紹介します。

学校名:彦根市立金城小学校
教科等:4年算数科(平成28年6月)
単元名:およその数の表し方を考えよう(がい数の表し方)

彦根市立金城小学校の4年生の算数科の単元である「およその数の表し方を考えよう(がい数の表し方)」は、主体的・対話的で深い学びを取り入れた授業の実践例です。参考:独立行政法人教職員支援機構

この授業では、買い物で3つの商品を買う際に必要な合計金額を見積もる問題を通じて、児童が問題場面を把握し、目的を設定する方法を学んでいます。

グループワークでは、全員が自分の言葉で表現したり、対話を通じて考えが練り上げられ、目的の達成に向けた手応えを感じることができていたようです。

例えば、全体で共有したい考えを持っている児童に、ホワイトボードを渡して発表を促したり、友達が発表した意見との違いについて理解を深める場面を作るなど、「全員が自分の考えを持つ」ことを実現していたようです。

このように、児童が主体的に考え、対話を通して深い学びを実現することで、知識だけでなく、批判的思考力やコミュニケーション能力も育まれると考えられます。

彦根市立金城小学校のようなアクティブ・ラーニングを取り入れた実践例は、全国各地でどんどん実践されていっています。

まとめ

今回は【主体的・対話的で深い学び】の概要を、彦根市の実践例を踏まえながらまとめました。

また、以下の3つの効果を紹介しました。

  • 人間性の育成
  • 問題解決能力の育成
  • 言語能力や情報活用能力の育成

今後、AIなどのテクノロジーが社会に浸透していく中で、思考力を育む主体的・対話的で深い学びの重要性は、より一層発展していくと予想されます。

近年注目を集めている教育のトレンドの一つとして、注目したいですね。

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