「サービス管理責任者(サビ管)を辞めたい」と悩んでいる方向けに、よくある悩みと対処法を具体的に紹介していきます。
サービス管理責任者と毎月50名前後キャリア面談を実施する編集部が、体験や事例を踏まえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
サビ管を辞めたいと考えている人はどのくらいいる?
はじめに、サービス管理責任者(サビ管)の離職率がどの程度なのかざっくり確認しておきましょう。
令和4年 雇用動向調査結果の概要 のデータによると、
サビ管が主に属することになる「医療・福祉」業界における離職率は、15.3%となっています。
上記図は令和4年 雇用動向調査の結果 産業別の入力と離職 より引用
産業全体の離職率が15.0%となっているので、ほぼ平均的か少し平均より高いといえるでしょう。
辞めたいと思うのも決して珍しいことではありません。
つづいて、サビ管を辞めたいと思うよくある理由や対処法について見ていきましょう。
サビ管を辞めたいよくある理由
理由① 労働条件・設備環境が悪い
キャリア面談を実施していると、サビ管さんが現職を辞めたい理由として、以下のようなもの挙げられる方が多いです。
- 夜勤がある(グループホームの場合)
- シフト制で固定休みがない
- 年末年始やお盆でも出勤が必要
- 希望休が取れない
- 仕事量に見合わない給料
- 経営者・管理者が非協力的で、全ての責任がサビ管にかかってくる
- 就業時間外にも仕事の連絡が絶えない
サビ管は体力的にも精神的にも大きなエネルギーを要する仕事です。
突発的な事態への対処も多くあるため、就業時間内に仕事を終えられない場合もあります。
またグループホームで勤務をしていると夜勤があることが多く、体力的にきつくなってしまう場合も多いです。
就労継続支援施設でも、農業に関する仕事の場合、農作物の管理等で長期間施設を空けることできず、出勤しないとけいないケーㇲもあるそうです。
リフレッシュできるプライベートの時間や、自分の仕事に対する正当な評価を得られなければモチベーションが保てなくなるでしょう。
理由② スタッフの教育や人間関係のストレス
スタッフの教育にストレスを感じる方が多い印象です。
未経験スタッフの育成等、現場スタッフの力の底上げと現場全体での方針統一は大切なことです。
しかし、たくさんのスタッフがいてそれぞれに性格・事情が違うため、どのように伝えるか、どんな役割が合っているのかなど考えながら指導していくことは容易ではありません。
仕事に対する価値観や温度感も違う多くのスタッフを指導していくことになるため、ストレスも多いですし、時にはトラブルになってしまうこともあります。
人間関係の悪化は業務にも支障が出てしまうので、慎重に対応しないといけない一方、子供たちのことを考えると毅然と対応すべきこともあったりと、葛藤は尽きません。。
スタッフ指導に関する具体的な悩みのエピソードやその際に行った対処法等については以下の記事をご覧ください。
理由③ 運営会社や施設の方針と合わない
施設の管理者や経営者が掲げる方針が自分の価値観と合わないといった悩みを持たれている方もいらっしゃいます。
例えば、以下のようなケースです。
経営者:「利益を多く出すこと」を優先して設備や人材に最低限の資金投資しかしない、利用者の機嫌を取るため無理な要求を現場スタッフへの確認なしに安請け合いする。
サビ管:「利用者ファースト」で考え設備を充実させて人員を増やしたい、利用者のためにも現場が混乱することのない環境を作りたい。
サービス管理責任者にもある程度は裁量権があるとはいえ、最終的には経営サイドの判断が優先されます。
自分と経営者の方針があまりにずれていると、利用者さんファーストのサービスが実現できず、どんどん不満が溜まっていきます。
やりがいがもてないまま働き続けるのは自分のためにならないですし、何より現場のスタッフさんや児童、保護者のためにならないことも多いです。
会社の方針と合わない場合は、別の職場で働くことも検討してみましょう。
理由④ 営業ノルマばかり追わされ、サビ管業務に専念できない
理由③とも関連しますが、本来のサビ管業務よりも営業ノルマ達成を優先することを強いられるケースもあるようです。
例えば、利用者さんの集客や特定のプログラムの受講促進(例:就労移行支援施設)等、利用者さんよりも法人の売り上げを優先した運営になっている施設もあると聞きます。
福祉施設も完全ボランティアではなく、提供サービスや利用人数などに応じた国からの補助金(報酬加算)で成立しているため、
ある程度は仕方ないと理解されているものの、あまりに”営業営業”してしまうと、しんどく感じてしまう方も多いようです。
理由⑤ 仕事量が多い
サビ管の業務としては、例えば以下のようなものがあります。
- アセスメント&モニタリング
- 見学対応・契約業務
- 個別支援計画書の作成
- 保護者対応
- 関係機関との連絡・調整
- 請求業務
- 人材育成
- 送迎業務
- シフト作成
- 会議の実施
サビ管の仕事は、現場に関係するものと事務関係のものがあり、量も多くなってきます。
支援員さんと比べると、業務が多岐にわたり、量が多くなってしまいます。
さらに、管理者を兼務すると、施設運営業務全般も追加され、業務量が非常に多くなってしまいます。
「サビ管を辞めたい!」体験談を3つ紹介
以下では、実際にサビ管さんから聞いたエピソードをいくつか紹介します。
配置基準ギリギリの従業員数で仕事量が多すぎる
従業員数はギリギリ配置基準を満たしているが、新規オープン施設のため、非常に忙しい。
利用者さんの集客活動や事業所内体制の整備など、利用者さんの支援ができる環境ではなく、サービス残業も多い。
時には休日出勤をしないと仕事が回らないこともあり、非常に疲れる。
身体を壊す前に今の職場を辞めたい
事業所を運営する法人が別会社の傘下に
突然、運営母体の会社が別法人の傘下に入る事が決定。
施設の運営方針も大きく変わる事が見込まれ、”営業色”が強い雰囲気になってしまった。
利用者さんとの関わりは好きだが、自分がやりたい仕事ができなくなり、ストレスを感じるように。
夜勤がきつすぎる
グループホームで勤務。最初は夜勤も大きく負担にはなっていなかったものの、歳を取るにつれて身体的な負担が大きくなるように。
規則正しい生活を送り、家族や趣味の時間も充実させたいため、夜勤を無くせないか相談するものの、却下。
夜勤のない生活を送りたい。
サビ管を辞めたいと思った時の対処法
対処法① 仕事内容の調整
本来「サビ管でなければならない」と定められている事務的な業務はそう多くありません。工夫によっては各業務から少しずつサビ管の負担を減らすことができます。
送迎業務・管理者業務・請求業務
これらの業務は、必ずしもサビ管が実施する必要はありません。
業務量が多くしんどい場合は、こういった業務を別のスタッフさんと協力して実施できないかどうか、法人や上長に相談してみましょう。
サービス管理責任者は個別支援計画の作成が最重要業務であり、サビ管が事業所にいないと減算になってしまうため、強気に交渉するのも一つの選択肢となります。
対処法② 上長やエリアマネージャーに相談する
まずは直属の上司に直接相談することがもちろん好ましいのですが、話が折り合わなかったり聞く耳を持ってくれなかったりする場合は、さらに上の上司へ相談する方法があります。
チェーン店や大きな福祉団体ではなく、個人で設立されていて管理者・経営者より上の上司がいない施設もあるかもしれません。
その場合は地域で民間運営されている連絡協議会のような団体へ相談する、内容によっては市区町村の福祉課へ相談するなどの方法もあるでしょう。
対処法③ 人に相談する
日頃の悩みを家族や友人の第三者に相談する方法もあるでしょう。
問題の根本的な解決策を得られない可能性もありますが、他人に現状を話すことで今の自分の状況ややるべきことが整理されたり、気持ちが晴れて新たな視点から対処法が見えてくる場合もあります。
また、ほかのサビ管に相談することもおすすめです。
研修や関係者会議などで、サビ管同士の交流があると思います。同じ立場でしか分からない事情が多い仕事なので、参考になる事例やアドバイスが聞けるかもしれません。
対処法④ 転職活動を始めてみる
自分に合った職場で働くことが一番なので、そのような職場を探すためにも転職活動を始めることがおすすめです。
業務量が多すぎて悩んでいる場合は、業務量の少ない職場へ転職するのが一番根本的な解決になります。
同様に、施設方針や働き方など、自分に合った職場を見つけて働くことで、今より何倍も楽しく働くことができます。
もし転職するかどうか迷っている場合でも、他の施設の求人を見たり、いくつか面接に行って話を聞いたりすることもおすすめです。
他の施設の様子を把握することで、今の職場を続けるかどうかの判断がしやすくなります。
また、転職活動を始める際の注意事項に関する記事もありますので、下記からぜひご覧ください。
まとめ
今回はサビ管を辞めたいと悩んでいる方向けに、体験談も交えつつ解決策について解説していきました。
一番大切なことは一人で抱え込まないということです。
上司、同僚、家族や友人、転職エージェントなど、ご自身の状況や気持ちに応じて、相談してみましょう。
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