サービス管理責任者から児童発達支援管理責任者になるために必要なこと
「今回はサービス管理責任者(サビ管)から児童発達支援管理責任者(児発管)になるためにはどうすればよいのか?」を分かりやすく解説していきます。
管理者・児発管経験のある筆者が、行政等の資料を踏まえて解説していますので、サビ管から転職をして児発管になりたい方は必見です。
サービス管理責任者とは?
サービス管理責任者は、障害のある人々の生活の状況や各種特性等を考慮したうえで、日常・社会生活における自立を実現するための支援計画を策定していきます。
計画策定や支援の際には、相談支援専門員など別の職種や関連機関と連携する必要があり、調整力が必要とされる仕事です。
主な業務場所は、障害者総合支援法に基づく指定事業所となっており、例えば生活介護や就労継続支援所です。
児童発達支援管理責任者の業務と近しいですが、サービス管理責任者は18歳以上の障害者を対象にしており、日常生活のサポートが中心となるのが特色です。
2012年4月以前、障害児に特化した施設が障害福祉サービスとして位置づけられていた際には、
サビ管は障害児の支援計画の策定に関与していましたが、
児童福祉法が改正され、障害児専門の施設は児童福祉法のもとで指定されるようになり、
新たに児童発達支援管理責任者のポジションも設けられました。
児童発達支援管理責任者とは?
児童発達支援管理責任者とは、子どもたちの発達状態やそれぞれの特性に合わせた援助を主導する専門職です。
子どもごとの個別支援計画の策定(アセスメントやモニタリングなど)、保護者さんとの対話、そして関係機関との協力が求められるなど、業務範囲は広いです。
子どもたちの発達を評価し、その評価を基にして支援計画を継続的に更新していきます。
保護者の希望や意見を尊重しつつ、適切な支援計画を立案するための判断力や課題を見つけ出す力が不可欠です。
常に子どもたちの様子を注視し、状況に応じて適切な提案や変更を行う能力も必要とされます。
さらに、子どもやその家族と関わるさまざまな組織や機関、例えば保育園や学校、専門家、医療機関などとの連携もこの職種の大切な役割の一つです。
児童発達支援管理責任者は、「児発管」と略され、児童の福祉に関連する多くの施設で活躍しています。
サービス管理責任者と児童発達支援管理責任者の違い
児童発達支援管理責任者(児発管)とサービス管理責任者(サビ管)の違いを以下にまとめています。
主に、関係法案、勤務施設、対象年齢、資格取得要件の観点で違いがあります。
児童発達支援管理責任者 | サービス管理責任者 | |
関係している法律 | 児童福祉法 | 障害者総合支援法 |
対象年齢 | 18歳未満 | 18歳以上 |
(2023年10月25日時点、参照;障害福祉サービスかながわ) | 資格取得時の要件実務経験にて、救護施設・更生施設・老人福祉施設・介護老人保健施設・老人居宅介護等事業などを含まない期間が既定年数必要 そのほか、サビ管の要件にはない施設も含める。 →詳細はこのあと解説 | 実務経験にて、左記下線部を含めてOK |
勤務施設 | 児童発達支援事業 放課後等デイサービス 障害児入所施設 児童発達支援センター など | 就労移行支援 介護老人保健施設 老人福祉施設 など |
サビ管と児発管になるまでの過程における違い
サビ管および児発管になるまでの大まかな流れ
サビ管・児発管ともに大まかな流れは似ています。詳細は以下の写真をご覧ください。
引用;障害福祉サービスかながわ「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者になるまでの流れ」
引用;障害福祉サービスかながわ「サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者になるまでの流れ」
引用;障害福祉サービスかながわ「児童発達支援管理責任者の実務経験要件(2021年5月修正版)」
児発管とサビ管の違い【必要な実務経験】
児発管とサビ管で必要な実務経験に違いがあります。今回は神奈川県公開の資料をもとに、比較しながら見ていきましょう。
①相談支援業務(通算5年以上)
児発管とサビ管の違いは黄色マーカーおよび*の部分になります(参照;障害福祉サービスかながわ)。
※詳細な意味は画像の末尾にて解説
▶黄色マーカー:サビ管の要件には含まれていないが、児発管の要件では含んでも良い施設など
▶*:児発管の要件では*での経験以外で通算3年以上が必要
たとえば、オ「学校教育法第1条に規定する~」の項目について、見ていきましょう。
児発管の要件では黄色マーカーの幼稚園や小中高なども含まれることになりますが、サビ管の要件では特別支援学校のみが指定されています。
また、ウの項目においては、*の施設(ex:救護施設や更生施設)で勤務経験があっても、児発管になる場合の要件には使えないことになります。
自分がこれまで勤務してきた施設がどこに該当するのかを把握しておくことが非常に重要です。
②直接支援業務(通算8年以上)
*および黄色マーカーが意味するところは上記で解説した「①相談支援」と同じです。
▶黄色マーカー:サビ管の要件には含まれていないが、児発管の場合は含んでも良い施設など
▶*:児発管の要件では*での経験以外で通算3年以上が必要
③国家資格等のケース
国家資格等の業務経験年数に以下のような違いがあります。
・児発管の場合:国家資格等の業務を5年以上経験している者
・サビ管の場合:国家資格等の業務を3年以上経験している者
サビ管から児発管になるには?ケースごとに解説
それではいよいよ本題です。
これまでの資格要件の違い等を踏まえ、サビ管から児発管になるための要件をケースごとに見ていきましょう。
ケース①:2019年4月以降に研修をすべて終了し、サビ管として配置されている方
2019年4月からは児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の研修内容が統一されています。
よって、サビ管と児発管になるまでの違いは実務経験部分になります。
ですので、ご自身の実務経験を丁寧にイチから振り返り、
児発管になるために必要な実務経験が不足している場合は、必要な実務経験を積みましょう。(具体的な違いは本ページの「児発管とサビ管 実務経験の違い詳細」にて)
その後、児発管として配置が可能となります。
一方で、不足がない場合は基本的にはそのまま児発管として配置可能となります。
ただじ、自治体によって微妙に基準が異なる場合があります。
ケース②:2019年3月以前に研修をすべて終了し、サビ管として配置されている方
そもそも更新研修受講が必要
2019年以前にサビ管の資格を取得した方は、2023年度中に「更新研修」を修了しないと資格が失効します。(児発管資格の方も同様に失効します)
多年にわたりサビ管(児発管も同様)として実際の業務に従事していても、更新研修を受けていなければ無資格状態となってしまいます。
更新研修の詳細は以下の記事でも解説しています。
業務を継続していた場合には来年4月からサビ管(児発管)欠如となり、ベテランであっても再び「実践研修」の受講をしなおす必要があります。
まだ更新研修を済ませていない方は”大至急”更新研修を申し込む必要がありますが、2023年度内の更新研修については、大半の都府県ではすでに申し込みを締め切っています。全国の開催状況を調べて、申し込みが間に合う自治体があったら、他府県からの受講を認めているかを確認して申し込んでください。
➝2023年度内の更新研修の申し込みは全国の自治体で終了しています。今回受講することができなかった場合は、実践研修からやり直すことになります。
各自治体の2024年度の実践研修スケジュールをいち早く把握し、申し込み忘れが絶対発生しないようにしましょう。
更新研修が無事受けられたら
2019年以前のサビ管修了証は、基本的にはサビ管・児発管どちらにも有効です。
ですので、今年度中に「更新研修」を受ければ、児発管資格としても有効となります。
指定権者によって実務経験で制限をしている可能性もあるため、必ず指定権者(自治体)に確認をしましょう。
法人側が児発管として配置できると思って内定を出したものの、実は指定権者的にはNGで内定取り消しになったという事例もありましたので注意が必要です。(引用元:児発管のお見送り理由の記事)
とにもかくにも、何とかして「更新研修」を受けることが最善策になります。(児発管特有の児童分野の実務経験は不問)
その後、指定権者へ「児発管として配置可能か」の確認も忘れずに行いましょう。
ぜひ慎重に確認していってください!
更新研修を受けられない場合
先述の通り、実践研修からやり直すことになります。
その際に、児発管特有の実務経験を満たしていない場合、不足している児発管用の実務経験を積んだあとに実践研修を受けなければなりません。
実務経験の具体的な違いは本ページの「児発管とサビ管 実務経験の違い詳細」にて解説しています。
まとめ
今回はサービス管理責任者から児童発達支援管理責任者になるために必要な事を解説してきました。
非常に複雑かつ指定権者によっても要件が異なってくるため、1人で判断するのは非常に危険といえるでしょう。
ぜひ慎重に確認していってください!
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