児童発達支援管理責任の円満な辞め方を具体的に解説
児童発達支援管理責任として勤務していた事業所を辞めたいと思ったものの、「どのように退職に向けて進めていけばいいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。
今回はそんな児発管の方向けに、退職意向の伝え方やスケジュール感、トラブルが発生しないためのポイントを徹底解説していきます。
児童発達支援管理責任者として勤務し、事業所を退職した経験のある筆者が詳しく書いていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
また、「児発管を辞めたい」と思うよくある理由とその解決策に関する記事も書いておりますので、ぜひご覧ください。
児発管の辞め方の大まかな流れ
児発管の辞め方の大まかな流れは以下になります。(詳細は後程細かく解説していきます)
緊張しますが、まずは伝えるところからです。
「願」と「届」の違いに注意しましょう。
児発管ならではの内容もあります。ここも大変ですが、丁寧に行いましょう。
児発管特有の受け取るべき重要物がありますので注意です。
それぞれ詳細やポイントを解説していきます!
児発管の辞め方の詳細・ポイント解説
退職意向を伝達
退職意向は、退職希望日の1か月半~2か月前には伝えるのがベストです。
基本的には直属の上司に伝達するのがマナーです。感情的になることなく、落ち着いて感謝の意を示しながら伝えましょう。
転職理由で批判や不満を述べるのはNGです。また、転職先の法人にもあまり触れないようにしつつ、退職希望日も伝えましょう。
退職の理想のタイミングや時期などは、後程詳しく解説しています。
退職願・退職届を提出
退職願と退職届は似て非なるものです。違いに充分注意しましょう。
退職願:「○月○日に退職したい」と退職意向を法人に願い出る書類です。必ず提出するわけではないケースもあり、法人によっては口頭での伝達だけでOKの場合もあります。
退職届:退職の申し出・願いが受理され、退職日が確定した後に提出する書類です。
業務の引き継ぎ
退職申し出を受理される際などに「引継ぎをいつまでにどのようにやるべきか」の指示があります。
児発管は児童の支援内容に関する統括責任者ですから、登録されている利用者に関する情報を、資料を基に的確に引き継ぐことが重要です。
業務の流れと段取りを整理して、各利用者ごとのアセスメントシート、個別支援計画、モニタリング記録を資料として付けることは必須で、
対外的な折衝や利用調整にかかる進捗状況なども箇条書きで示し、口頭で伝えるしかない家庭に関する情報なども加えます。
対面引き継ぎが可能であればそのように済ませられますが、後任者が決まっていないなどの事情によっては「引き継ぎ書」等で書面引き継ぎになることもあります。
その場合は、客観的事実と個人の意見や感想は分けて書くのがベストです。(客観的な事実の記載だけの方が無難です)
返却するもの・受け取るもの確認
返却するもの
退職に際しては、主に以下のものを返却していきましょう。
- 身分証
- 名札、名刺、ネーム印
- ユニフォーム
- 健康保険証
- 定期券等
- 自分で作成した業務資料
- 事業所から与えられた文具や事務用品
作成したデータがある場合、何も残し忘れのないようにすべて返却します。
自宅で仕事をした時の資料も漏らさずに返却します。
特に事業所の運営にかかわる資料や利用者情報等は後々のトラブルの元になりますから十分注意します。
受け取るもの
主に以下のものを受け取ります。
- 雇用保険証
- 年金手帳
- 離職票
- 健康保険資格喪失証明書
- 退職証明書
- 源泉徴収票
- 実務経験証明書
- 児発管の資格証
また、一般的な職種の退職時と同様に離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書、源泉徴収票を発行してもらいます。
加えて、すぐには要らなくとも、自分宛ての実務経験証明書を貰っておきましょう。
職務内容として、管理的職務と直接処遇職務とは分けて証明してもらっておくことが大切です。
将来福祉業界で何らかの資格を取得する際に、直接処遇の経験のみを問われて管理職期間が除外されることもあるからです。
児発管の資格証明書も、もし仮に事業所へ預けている場合は必ず返却してもらって手元に残るようにしておきましょう。
児発管を円満退職するためのポイント
事業所を辞める際の理由の伝え方
理由の伝え方の主なポイントは以下になります。
強い退職の意思を伝える
退職する意思が固いことを明確に伝えましょう。
引き止められる可能性を想定し、「引き止めていただけるのはありがたいが、退職の意思は変わらない」と繰り返し伝えることがポイントです。
それでも引きとめられることが想定されますが、引き止めについての傾向と対策はこのあと詳細に解説していきます。
引き止めにくい退職理由を伝える
「その理由なら辞めるのも仕方がない」と上司が納得しやすい理由を伝えることも大切です。
引き止めにくい退職理由として主に以下のようなものが考えられます。
- 今の職場ではできない新しい挑戦をしたいなどの前向きな理由
- 引っ越しや親の介護など家庭の事情
最近は無理な引きとめをする法人も減ってきているものの、一部ではまだまだ強引な引き止めが行われていると聞きます。
特に「一身上の都合」や、会社への不満を主な退職理由とすると、引き止めが長引く可能性がありますので注意が必要です。
※※ 嘘や誤った理由を伝えると、後で問題が生じる可能性があるので、真実に基づく伝えやすい理由を選ぶことがおすすめ。
退職時期とタイミング
理想の退職時期は、年度替わりor長期休暇明けの学期替わりになります。利用者さんや法人への影響が一番小さいタイミングだからです。
夏休みなどの長期休暇前に人員が減少と、事業所によっては困る場合もあるので、できれば避けた方が良いでしょう。
ただ、家庭の事情や自身の体調や気持ちを考えて、どうしても辞めたいなと思う場合は、自身のタイミングで退職をするのもアリです。
事業所のことを考えることも大事ですが、自分自身や家族の人生も大切です。無理して働いて、体調を崩してしまったら、取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
本記事を参考に引き継ぎ等を丁寧に行ったうえであれば、自身のタイミングで転職することも充分可能です。
退職の発表や社内外へのあいさつについて
退職の合意がなされていない段階で退職意向があることを周囲に知られるのは危険です。無駄なトラブルや混乱を招くリスクがあるからです。
退職が円満に決まってから、事業所内外に退職することを知らせします。その方法についても事業所サイドと合意しておきます。
その際「退職理由は実際とは違う内容にしてほしい」と事業所から頼まれることもありますから、事業所サイドとはよく話し合うことが必要です。
退職理由を具体的にすると差しさわりがあることも考えられますので、「家庭の事情」とあいまいにしたり、お知らせする相手次第で安心してもらえるような伝え方が良いでしょう。
従業者・仲間にはできるだけ早くお知らせし、今までのお礼を伝えて、退職後のことをお願いすることが大切です。
利用者とその家族には個別に伝え方を考えて、退職後には誰がどのようなフォローをするかも含めて丁寧に説明します。
相談支援事業所、学校・保育園等、同業事業所には、今までのお礼とともに今後の対応をお知らせして信頼関係をつなぎます。
また、退職後の体制について外部へ伝える際にも、事業所から伝え方や内容に関して指示がある場合もありますから、必ず事前にすり合わせを行っておきましょう。
児発管の退職時に起きがちなトラブルとその回避方法
引き止め
児童発達支援管理責任者に限った話ではなく、どんな職種でも引き止めは発生し得るものです。
よくある引き止めのケースに関して、対処法とともに見ていきましょう。
①待遇改善を約束する引き止め
引き止め中には「給与を上げるから退職しないでくれ」「希望の施設に異動させてあげるからとどまってくれ」といわれる場合もあります。
「給料があがるなら、、」と引き留めを受け入れるケースも考えられますが、要注意です。
契約書や書類で約束がなされない場合、待遇改善が確実に実現するとは限りません。
実際、引き止め時に給料UPを約束されたにもかかわらず、実際には給料が上がらなかったという事例があります。
そもそも、退職意向を伝えて給料が上がる余地があるのなら、もとから上がっているはずなので、急に上がることはあまり現実的ではありません。
目先の口約束だけで判断せずに、慎重に対処することが重要です。
②感情に訴える引き止め
「君がいないと我々は困る」「子どもたちのためにももう少し先延ばしにしないか」といった、感情的な言葉で引き止めようとする場合もあります。
真面目な人ほど、こういった言葉に揺らいでしまって、感情が整理できなくなってしまいがちです。
疑問や不安に感じる際は「少し時間をいただいて考えさせてください」と伝え、一歩引いて冷静に判断する時間を持つことが大切です。
その際、今所属している法人・事業所への感謝や今までの関わりと退職後に実現したいことを天秤にかけ、どちらの方が自身の未来にとって大切かを冷静に見つめ直してみることが求められます。
さらに、上司や同僚から「君なしでは成り立たない」という言葉を受け取った時、その背後にある真の意味を深く理解することが大切です。
もちろん、本当にあなたが欠かせない存在で、その役割に対する満足感や達成感を感じるのであれば、その場所での継続を選んでも良いかもしれません。
一方で、引き止めてくる上司や同僚の中には
「退職されると自分の評価が下がってしまう。。何としても止めねば!」
「業務の負担が増えて面倒だから一旦辞めないで欲しい!」
という、自分本位の隠れた本音が存在することも十分考えられるので、その点にも気を配る必要があります。
①②のどちらにせよ、退職の決意が固いのであれば、一時の感情に流されずに、冷静に対応しておくことが大切です。
円満な引き止め対応方法
一番確実で円満なのは自分の代わりとなる人材を見つけておくことです。
たとえば、サービス管理責任者/児童発達支援管理責任者研修の受講資格を有する職員には、事前に研修を受けてもらっておくと安心です。
そうすれば、事業所側に対して「後任の候補を育てた」と主張ができ、無責任ではないことをアピールできます。
そのような候補がいないとしても、日常的に新規募集をかけてもらっておけば事業所の安心にもつながります。
どうしても代わりとなる人材がいない場合は、なるべく早めに退職を申し出て、この記事でも紹介したポイントを踏まて、引継ぎを徹底して行っておきましょう。
退職届保留
退職届が受理されずに保留となってしまう事態も絶対にないとは言い切れません。ただ、退職届を受理せずに保留していると法人側が違法になり得ます。(参考:ベリーベスト法律事務所 名古屋オフィス)
心を尽くして話し合って受理してもらうことが理想ですが、最悪の場合は強硬手段に出ることもやむを得ないかもしれません
法律上は、正社員など雇用期間の定めがない契約の場合、退職を申し入れた日から2週間後には雇用が解約されると定められています。(参考:日本労働組合総連合会QA)
もちろん社員規則等にはもっと早い時期からの申し出を規定されている場合も多いですので、それにのっとって申請するべきではありますが、規則よりも優先されるべき法律では2週間前でOKということです。
そのため、強引に辞めるという強硬手段に出ることも選択肢の1つとして頭の片隅に置いておきましょう。
ただし、福祉業界は広いようで狭いです。全国規模でも研修等で関わることも考えられますから、よほどひどい事業所相手の場合を除いて、慎重に説得するようにしましょう。
基本的には、この法律の話をすれば、大抵の場合は退職届を受理してくれます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
現在働く施設を辞める際、多かれ少なかれ負担が伴うものです。現状を変えることそのものにも抵抗がある方も多いです。
ですが、何かしら現状に不満があるのであれば、勇気をもって一歩進めてみることも大切です。
辞める際に迷う事があれば、ぜひ本記事を参考にして進めていただければと思います。
また、転職方法の詳細な解説は以下の記事で行っておりますので、ぜひご覧ください!
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