通信制高校は“ヤバい”のか!?
みなさんは通信制高校についてどのようなイメージを持っていますか?
・学校に馴染めない子が行くところ
・人間関係がうまくいっていない子が行くところ
などといったイメージがあるのではないでしょうか。
そんな“ヤバい”と言われている通信制高校について徹底的に解説していきたいと思います!
今回の記事では、近年のトレンドとも言える「通信制高校」に着目し、その実態から今後予想される動向までまとめていきたいと思います。
この記事を読めば通信制高校についての理解が深まるだけではなく、今後の進路選択の参考になること間違いなし!
通信制高校がネガティブなイメージを持たれる理由
通信制高校に対して、ネガティブなイメージを持つ人は一定数います。
ではなぜ、ネガティブなイメージを持ってしまうのでしょうか。
通信制高校に対する偏見
不登校や問題を抱えた生徒が多いというイメージ
通信制高校は、通常の高校に通うのが難しい学生が通う場所だという偏見が根強くあります。
特に、学業や人間関係のトラブルなどで通学できない学生が多いというイメージが強く、そのため「問題を抱えた学生が集まる場所」としてネガティブに捉えられがちです。
その原因の一つとして通信制高校のメリットや成り立ちが、一般的にあまり理解されていないことが考えられます。
多くの人々が「普通の高校と違う」と感じるため、通信制高校に対する理解が浅く、批判的に捉えられる傾向にあります。
特に、従来の「全日制」教育の枠組みの中で育った世代には、通信制高校の価値が伝わりにくいという側面があります。
しかし実際には、「SNSやスポーツと両立したい」「自分のペースで学習を進めたい」など様々な理由で生徒は通信制高校に通っており、必ずしも全ての生徒が問題を抱えているわけではありません。
「通信制=逃げの手段」と見なされがち
社会には、通信制高校を「最後の手段」や「逃げ道」として見る人もいます。
一部の企業や大学では通信制高校出身者に対して不利な評価をするケースがある、という根も葉もない噂があり、これが「逃げた」という印象を助長することがあります。
通信制高校出身の方で、有名大学・有名企業に進んでいる事例は多くあります。下記の記事では、東大・マッキンゼーへ進んだ方の紹介がなされています。
https://toyokeizai.net/articles/-/709375
あくまでこれらは全日制との比較から生まれる誤解であり、実際は逃げ道でも楽な道でもありません。
「新しい学びの形」としての認識が普及してほしいです。
学歴や将来の不安
大学進学への道が閉ざされると考えられている
通信制高校は一般的に「学歴が低い」と思われがちで、卒業後の進学や就職に対する不安がつきまといます。
特に、偏差値が低い学校や、就職支援が十分でないところもあるため、卒業後のキャリアに対して不安を感じる親や生徒も多いです。
また、「通信制高校を卒業しても、大学に進学するのは難しいのではないか」というイメージがあり、特に「学歴社会」と言われる日本の状況では、こうしたイメージがネガティブに働きます。
しかし実際は大学進学や専門学校入学、起業、芸能活動など多様な道に進んでいるため、通信制高校に通っていても
十分多様な進路選択ができます!
また、近年は中身重視の採用活動も多く行われているため、「学歴社会」は緩和しているように感じます。
人間関係の構築への不安
全日制高校で経験する学校生活と異なるという点が、最も大きなネガティブイメージの要因となっています。
多くの人々は、毎日通学し、クラスメイトと交流する従来の高校生活を「標準」と考えているため、通信制高校の異なる形態に違和感を覚える場合があります。
特に、「青春時代に大事な友達関係を築くことができるのか」という心配の声があります。
通信制高校では対面での交流機会が少ないため、社会性の発達や人間関係構築に不安を感じる人が多いようです。
ただ、実際は学校が企画する行事や交流会、対面授業(スクーリング)、オンラインでのプラットフォーム、部活動、サークル活動に積極的に参加することで十分人間関係を構築することが出来ます。
※どのようなイベントや活動があるのかは学校ごとに異なるため確認が必要です!
通信制高校に対してマイナスのイメージは多々ありますが、近年の通信制高校は違います!
通信制高校がヤバいと言われる理由
近年では通信制高校の数が増加し、通信制高校を選ぶ生徒も爆発的に増えています。
そんなヤバい通信制高校ですが、どのようにヤバいのか詳しく見ていきます。
これは通信制高校の生徒数と学校数を表したグラフです。
令和5年度の「学校基本調査」によると、通信制高校は全国で300校以上あります。
どちらも数は増加しており、今後も増加していくと予想されています。
少子高齢化で子どもの数が減っているにも関わらず増えていっているのはすごいことですね。
ではなぜ、数が増加しているのでしょうか?
それは通信制高校独自のカリキュラムが関係していると考えられます。
多様なカリキュラム
通信制高校では学校ごとに独自のカリキュラムが組まれており、以下に具体的な学校を紹介します。
クラーク記念国際高等学校横浜キャンパス 選べる5つのコース
・総合進学コース
・インターナショナルコース
・eスポーツコース
・プログラミングコース
・スポーツコース(女子ラグビー選考)
N高等学校
・ネットコース(ライフスタイルに合せて好きな時間にネットで学習)
・通学コース(全国にあるキャンパスに定期的に通い、アクティブラーニングを実践)
・オンライン通学コース(ICTツールを活用して好きな場所に集い、対面形式のグループワークを繰り返し、主体性と行動力を身に着けるコース)
・通学プログラミングコース(IT業界で活躍できる人材を育成するためのプログラミング学習に特化したコース)
・個別指導コース(高校卒業に必要な学力から大学受験のための対策まで、個人に合せたサポートを受けられるコース)
第一学院高等学校
・スタンダードコース:週5日 or 週2日登校制 自分のペースに合わせて高校卒業を目指すコース
・プレミアムコース:週5日 or 週2日登校制 興味関心や将来の目標に合せて、専攻が1つ選べる。
・特別進学専攻
・グローバル専攻
・セルフプロデュース専攻
・社会人基礎力専攻
・デジタルコミュニケーション専攻 [関東]
・デジタルグラフィック専攻 [関西]
今回は3つの学校を紹介しましたが、以上に示したのはほんの一例に過ぎません。
このように通信制高校には生徒が主体的にやりたいことをやれるようなサポート体制が整っています。
それぞれの通信制高校によって異なる特色があるので、自分の興味や生活スタイルに合った学校を見つけてみてください。
通信制高校に通う生徒の例
S高校に通う男子の例:中学3年生のころから写真撮影や動画制作、ブログ執筆の仕事をしていて、ミュージックビデオやイベント撮影のほか、企業からの提供商品をブログで紹介しています。
仕事をしながら通える高校を探している時に通信制高校と出会い、入学を決めました。
今後の動向予想
結論として通信制高校は、今後より多様な進路選択を支援する重要な教育機関としての立場を強化していくと予想されます
その結果、社会的認知も高まり、新たな進路選択の一種として確立されていくと思われます。
以下に具体的な根拠を挙げながら、通信制高校の今後の方向性について説明します。
《卒業後の進路》 | ||||||
合計 | 大学等進学 | 専門学校進学 | 公共職業能能力開発施設入学 | 就職者等 | 左記以外の者 | |
通信制高校全体 | 60,691 | 10,688 | 15,199 | 589 | 14,035 | 19,612 |
100.0% | 17.6% | 25.0% | 1.0% | 23.1% | 32.3% | |
公立通信制高校 | 8,042 | 940 | 1,157 | 82 | 2,166 | 3,590 |
100.0% | 11.7% | 14.4% | 1.0% | 26.9% | 44.6% | |
私立通信制高校 | 52,649 | 9,748 | 14,042 | 507 | 11,869 | 16,022 |
100.0% | 18.5% | 26.7% | 1.0% | 22.5% | 30.4% | |
※上段:卒業者数、下段:構成比出所:学校基本調査(文部科学省) |
進路選択の支援充実
生徒一人一人に合った進路支援を提供できるため、進学・就職のみならず、生徒が希望する進路すべてのサポートを充実させています。
今後多様化していく社会の中で、様々な進路選択に柔軟に対応しているという面で、新たな進路選択の一つとして確立されると予想されます。
進学支援・就職支援の拡充
通信制高校は、大学進学や専門学校進学を希望する生徒へのサポートを強化していく傾向にあります。進学率の現状として2019年度の統計によると、通信制高校全体の進学率(大学・専門学校への進学)は 42.6% に達しています。
また、進学希望者の増加も見受けられ、私立通信制高校18校を対象とした調査では、生徒の 55%、保護者の 58% が進学を希望していることが明らかになっています。
通信制高校の中には私立大学との間に指定校推薦枠を持っている高校もあり、今後は大学とのつながりを深めていく可能性があります。
そのため、今後はそのニーズに応えるため、より一層進学支援の体制を強化していくことでしょう。
進学だけではなく、就職を希望する生徒のサポートも拡充していくと予想されます。
就職率の高さについて、2019年度の通信制高校全体の就職率は 23.1% で、全日制・定時制高校(15.7%)を上回っています。
通信制高校の中には企業とのコラボ企画やインターンシップ制度を締結しているものもあります。
多様な進路選択への対応:「その他」の進路に対しての進路支援
通信制高校は、「その他」の進路選択を支援する独自の役割を果たしています。
生徒一人一人に合ったサポートを提供しているため、進学・就職以外の進路選択にも対応しています。「その他」の進路を選択する生徒の割合は 30.9% と高く、全日制・定時制高校の 4.4% を大きく上回ります。この中には、資格試験準備、起業、留学など、多様な進路が含まれています。
柔軟な学習システムの提供
通信制高校の生徒の多くは、学業と仕事、スポーツ、芸術活動を両立させています。
これにより、多様なキャリアを形成する土台が整っています。具体例として、スポーツ選手やアーティストが通信制高校を利用して学業を継続しているケースが増えています!
また、通信制高校は専門的なコース(例:プログラミング、アニメーション、農業など)を提供し、生徒の進路選択の幅を広げています。
まとめると、通信制高校は生徒一人一人に合った学習支援から進路支援までを行っており、教育の個別化・多様化が進む現代社会において、通信制高校を重要な選択肢として位置付けられます。
まとめ
通信制高校の“ヤバさ”について理解できましたか?
ネガティブなイメージを持たれてる方が多いかもしれませんが、
通信制高校ではアート、プログラミング、ビジネス、芸能、スポーツなど、多様なコースが準備されており、生徒は興味のある分野に自由に挑戦できます。
さらに、キャリア教育も充実しており、インターンシップの企画提供、推薦入試やAO入試への対応も手厚く行っています。(※どのようなサービスが提供されるかは学校によって異なります。)
通信制高校では生徒個人に合った学習スタイルやサポートが得られるというメリットがあります。
一方で全日制高校ではクラス対抗の行事であったり、社会的つながりが得られるという点が強みだと考えられます。
自分の適性に合わせて学校選びをしてみてください!
この記事が今後の進路選択の参考になれば幸いです。
【関連記事】
【教員の働き方改革】部活動の地域移行とは? – 【教育ピックス】
【2024年】不登校の現状や要因と対策~最新データ~ – 【教育ピックス】