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【具体的な事例やツールも紹介】教員の働き方改革とICT活用

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ここ数年、教員の「長時間労働」や「人手不足」が取り上げられ、大きな話題となっています。

そこで本記事では、教員の働き方改革におけるICT活用に焦点を当て、具体的な課題や取り組み事例について解説します。

働き方改革とは何か、教育現場ではどのような取り組みが行われているのか、最新の学校現場の様子を踏まえながら紹介します。

目次

1. 教員の働き方改革とは

そもそも教員は、学習指導だけでなく、子供たちの育成や社会参画にも貢献する役割を果たしています。

しかし、現代の社会は急速に変化しており、それに伴い教員の負担も増加しています。

「教員の働き方改革」 社会の変化に合わせて教員が柔軟かつ効果的に働くための取り組み

永岡文部科学大臣は2023年5月、学校の抜本的改革に向けて具体的な検討を求めるとの声明を発表しました。

その内容として、教師が担う業務の見直しや教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実などが挙げられています。

給特法:公立学校の教員の給与に関する特別措置法であり、月給の4%を上乗せする代わりに残業代は支給されないことが定められています。※参考:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法

2. 学校現場の実態

教員の働き方改革が求められる背景には、以下のような要因があります。

人材不足

2022年の調査結果によると、「臨時で教員になることを希望して名簿に登録する人が減少した」と回答した割合が88%と最も多かったことが報告されています。

つまり、正式に雇用された教員が欠員した場合に、補充可能な人員が減少しているということになります。

臨時的任用教員:正規教員に欠員が生じた際に代替として任用され、授業だけでなく学級担任や校務分掌等も担当

また、公立学校の教員採用選考試験の採用倍率は、平成12年から年々減少し続けています。

一方で教員を志望する人が減少している背景から、教員免許を持たない「社会人教員」の採用が広まっています。

社会の変化

具体的な例として、コンプライアンスの厳格化学校のサービス化が挙げられます。

ここ数年教育現場では、法令や規則の遵守が強く求められるようになっています。

教員は法令遵守や個人情報の管理など、さまざまな業務を遂行する必要があります。

また、教員は保護や地域など、学校内外のステークホルダーとのコミュニケーションや調整を行いながら、子供たちの成長と教育環境の充実を図る必要があり、負担の増加に繋がっています。

長時間労働

調査結果によると、教員の1日の平均労働時間は小学校教員で11時間15分、中学校教員で11時間32分とされています。
(※参考:教員の過剰労働の現状と今後の課題(大内裕和))

さらに、国が示している残業の上限である月45時間を超える教員も報告されています。(※参考:教員勤務実態調査(令和4年度)【速報値】について)

以上、3つの背景から教員の働き方改革が強く求められています。また、これらの課題を解決するため、現在ではICTを活用した働き方改革が注目されています。

3. ICTを活用した働き方改革

ICTの活用(教育のDX化)

ICTを導入することで、授業の効率化や多様な教材の活用が可能となります。

特に近年は、教育のDX化が広まってきています。採点業務やAIの利活用により、教務の負担をすること可能です。

実際に、ICTがもたらす働き方改革の効果としては、以下の要素が挙げられます。

ICTの活用における効果とツール例

教務の短縮

教務の一部をICT化することで、実質的な労働時間を削減することが期待されます。

例:テストの自動採点・欠席連絡のオンライン化生徒情報の一元管理など

具体的なツールとしては、例えば以下のようなものがあります。

Googleフォーム:アンケート作成やテスト作成に利用可能。自動採点機能も提供。

Canvas:高等教育機関向けの学習管理システム(LMS)。テストの作成と採点の自動化が可能。

School Messenger: 学校と家庭の間のコミュニケーションを促進するツールで、欠席連絡のオンライン化にも利用可能。

授業の効率化

デジタルツールを利活用することで、授業を効率よく実施することが期待されます。

例:プロジェクターの活用(板書時間の削減)・プリント類のオンライン配信・遠隔授業の拡充など

具体的なツールとしては、例えば以下のようなものがあります。

Google ドキュメント: プリント類をオンラインで作成し、共有リンクを通じて生徒に配布することができます。生徒は自分のデバイスからドキュメントにアクセスし、必要に応じてダウンロードや印刷を行うことができます。

・Dropbox: ファイル共有サービスで、教師がプリント類をアップロードし、生徒と共有するのに利用できます。

一方で、ICTの導入による留意点もあります。

ICTの活用における留意点

教員のフォロー:ICTの取り扱いに関して、教員全員が利用できるようなサポート体制が必要です。

民間企業による研修の実施・教員同士による情報共有・扱いやすいICTの導入など

ICT環境の整備:セキュリティや安定した利用のため、環境整備に向けて継続した投資を行う必要があります。

LTEモデルの端末導入・高速ネットワーク環境の構築・ICTの定期的な保守点検など

LTEモデル:セルラーモデルとも呼ばれ、Wi-Fi環境がない外部環境でも通信が可能なモデルのこと

ICTをうまく活用することで、教員が担う膨大で俗人的な業務を短縮させることが可能です。

一方で、ICTの導入に際しては、研修を上手く取り入れながら、学校全体で取り組んでいくことが望まれます。

4. 成功事例紹介

ここでは、ICT活用によって働き方改革を実現した札幌大谷高等学校の事例を紹介します。

札幌大谷高等学校では、演習問題をGoogleフォーム化することで印刷の手間削減に取り組んでいます。

この取り組みにより、印刷作業にかかっていた時間を大幅に削減できたうえ、生徒の取り組みが可視化され、ゲーム性があり取り組みやすくなったと報告されています。

今後は生徒の取り組みへの意識付けや、使いやすさの改善に取り組んでいく予定で、Googleフォームを有効的に活用することで業務の効率化を実現し、生徒の学習意欲の向上や授業の質の向上につなげていくそうです。

詳しくは、全国の学校における働き方改革事例集にて

まとめ

教員の働き方改革とICT活用は、現代の教育現場において不可欠な取り組みです。

全国での取組は着実に進んでいますが、自治体や学校間には差が見られ、更なる加速が求められています。

今後ICT化が加速されて学校における労働環境を改善し、教員の魅力度向上に繋がることが期待されます。

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