今回の記事では、サービス管理責任者(以下サビ管)の方向けに、就労継続支援A型事業所で働くメリットについて見ていきます。利用者向けの記事ではありませんのでご注意ください。
サビ管として既に働いてる人も、そうではない人も、就労継続支援A型事業所とB型事業所との違いがややこしく、これまで違いがわからなかったのではないかと思います。
A型事業所で働く上での業務内容の違い、類似職との比較についても言及していきますので、最後までご覧ください。
就労継続支援A型事業所とは?
就労継続支援A型事業所の役割と特徴
就労継続支援A型事業所には、障がいの程度により一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、
就労の機会や生産活動の場を提供するという役割があります。
具体的には、障がいのある方々が一般企業で働くための前段階として就労経験を積むという意味合いを持っています。
最大の特徴としては、利用者と事業所が雇用契約を結ぶので、最低賃金以上の報酬が保障されているという点です。
言い換えると、利用者は生産活動に対しての報酬として給与がもらえるということです。
しかし、障害者総合支援法によると、利用者との間に雇用契約を結んでいるため、事業所は生産活動の収支を黒字に保たなければいけないという取り決めがあります。
そのため、A型事業所は福祉の役割のみならず、一般企業のような役割があります。
就労継続支援A型事業所のサービス管理責任者の仕事内容
A型事業所におけるサビ管の仕事内容について説明します。
サビ管のみならず事業所のマネージャーを兼任する場合、利用者に対するサポートのみならず、営業や収益のマネジメントのような役割をする必要があると考えられます。
大きくまとめると以下のようになります。
個別支援計画の作成
個別支援計画の作成は、サービス管理責任者の最も代表的な役割になります。利用者の障がい特性、現在の状況、将来的な目標などを詳細に含めた計画です。
利用者本人やその家族と面談を行い、個別支援計画を作成していきます。
個別支援計画のモニタリングと評価
実際に個別支援計画を作成した後は、実施状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて計画の修正を行います。
利用者が目標に近づいているかを確認し、進捗を記録します。
現場職員への指導と助言
管理責任者としての役割として、現場職員への指導と助言と職員のスキルアップを目的とした研修の企画や実施も行い、チームマネジメントを通じて支援の質を維持します。
特に、生産活動による利益を生み出したり、利用者の作業がスムーズに進むように指導カリキュラムを作ります。
また、一般企業への就労を目指している利用者が多いため、適切なスキルアップに繋がるような現場作りをする必要があると考えられます。
関係機関との連絡調整
関連機関との連絡調整も行います。
利用者が一般企業で就職できるようにするためにサポートしたり、企業との連絡・調整を行ったりもします。
また、マネージャーを兼任する場合、他の事業所に営業活動を行ったりする場合もあります。
A型事業所の種類と利用者に対するサービス内容
A型事業所の種類とサービス内容について見ていきます。A型事業所における利用者の作業内容は、主に「生産活動」と呼ばれています。
同じ就労継続支援事業所に分類されるB型事業所と比較して、生産活動によって利益を生み出すというところに重点を置いています。
具体的には、以下のようなものがあります。
・カフェやレストランでの接客
・パンやお菓子などの製造
・ミシン作業や手工芸
・簡単なパソコン入力作業
・清掃業務
・簡単な袋詰めや値札付け
・発送作業
就労継続支援B型事業所との違い
就労継続支援A型事業所とB型事業所は、どちらも利用者は障害者総合支援法に基づいて障害福祉サービスを受けることができるという点で共通しています。
しかし、大きな違いとしては、雇用契約を結ぶか否かという点であると考えられます。
これは利用者の利用目的が異なるからです。
A型事業所は、一般企業で働くことは難しいものの、一定の支援があれば雇用契約に基づいて働くことができる利用者が対象です。
そのため、利用者は障害の程度が軽いことが多く、生産活動を行って一定の利益を得ることが求められます。もちろん福祉の要素はありますが、一般企業のように働くという要素が強くなります。
一方、B型事業所は、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方向けに、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。
雇用契約を結んでいないため、作業の対価としては給与ではなく「工賃」が支給されます。一般にこの工賃は最低賃金を大きく下回っていることが多いです。
就労A型と就労B型のサビ管としての業務内容の違い
次に、サビ管として働く上でのA型、B型事業所の違いを説明します。
A型事業所では、利用者の一般就労に近い形での就労機会提供をしています。
一方、B型事業所では利用者が自立して就労できるようにより柔軟な形での就労機会と訓練提供するということに重点を置いています。
A型事業所 | B型事業所 | |
支援の目的と内容 | 雇用契約に基づく就労支援が中心で、一般就労に近い形での支援を行う | より柔軟な形での就労機会と訓練を提供し、個々のニーズに応じた支援を行う |
雇用契約に基づく就労条件(勤務時間、日数など)を考慮した計画を立てます。 最低賃金保障のため、生産性向上に関する目標を含めることもあります。 | 個々の障害特性や体調に合わせた柔軟な目標設定を行います。 就労だけでなく、日常生活や社会参加に関する支援目標も含めます。 利用者のペースに合わせた段階的な支援計画を立案します。 | |
企業や就労支援機関との連携が多い | 福祉サービスや医療機関との連携が比較的多い | |
就労支援技術や労務管理に関する指導が中心 | 多様な支援技術や個別対応に関する指導が重要 |
就労継続支援A型で働くサービス管理責任者のメリット
これまで、A型事業所とB型事業所における特徴の比較について扱ってきました。
加えて、類似職であるグループホーム、就労定着支援の特徴を簡単に踏まえながら
サビ管としてB型事業所で働くメリットについて、それぞれの類似職と比較して相対的に見ていきたいと思います。
B型事業所との比較について
業務内容は類似していますが、利用者への重点が異なります。
以前の述べた特徴から、B型事業所よりも一般企業のように事業をマネジメントするという要素が強くなっています。
そのため、利用者の成長とともに、事業所全体のマネジメントをしたいという方にとってはメリットになると考えられます。
グループホームとの比較について
グループホームの業務内容は、利用者の介護や健康管理が中心になります。
そのため、グループホームでは夜勤や肉体的にきつい業務内容が多くなります。
介助であったり、利用者の料理をワンオペで作ったりすることが主な業務内容です。
一方、A型事業所でサビ管の業務内容は利用者や職員のマネジメントが中心になるので、比較的安定した労働形態で働けると予想されます。
就労定着支援者との比較について
就労定着支援者は、就労移行などを経て一般就労に移行した障がい者を対象に、就労定着の支援を行います。
具体的には、利用者と企業側担当者との間に立ち、双方からヒアリングを通じて、利用者が一般就労に定着できるようにする職業です。
A型事業所との違いは、業務内容が多少事務的になってしまうという点です。
既に就職した利用者に対して、健康面、環境面で、しっかり定着できるかの相談を行うことがメインになります。
利用者の成長を見守りたい、事業所を成長させていきたいという人にとっては、A型事業所でサビ管として働く方が向いていると言えます。
まとめ
いかがでしたか?
これまでの内容をまとめると、B型事業所は、利用者個人個人にフォーカスして成長を見守るという要素が強くなっています。
利用者の自立を図ったり就労訓練に重点を置き、労働契約を結ばないという特徴があります。
そのため、福祉の要素が強くなっています。一方、A型事業所は、利用者のさらなるキャリアアップの手助けをしたり、事業所のマネジメントに重点を置き、福祉面のみならず、多様な経験が活かせるという違いがあります。
サビ管として働く上では、責任感を持って事業所を成長させつつ、利用者の成長・キャリアアップを目指したいというという人にとってはA型事業所の方が働き甲斐があると考えられます。
この記事を参考に、読者の方々にピッタリの職種を選択していただければ幸いです。
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