教員と民間企業で転職理由上位の「ストレス」について徹底に比較
教員を辞める理由のトップ5に常に入る「ストレス」。
しかし、一言でストレスといってもさまざま種類のストレスがあります。
もちろん感じるストレスには個人差がありますが、本記事では、教員という仕事の中で感じるストレスと、一般企業(民間企業)で感じるストレスにはどのような違いがあるのか、比較してみます。
転職を考える際に、自分はどのようなことに一番ストレスを感じやすいのかを客観視して、次の職場を選ぶ一助になるような視点を紹介できればと思います。
教育業界専門の転職サポート「教育キャリアナビ」で多くの求職者さんと面談する中で得られた気付きや傾向も踏まえたものになっています。
教員が感じるストレスにはどんなものがあるのか
クラスの管理
教師の仕事は非常に多様で複雑です。その中でもクラスの管理は教師が直面する最も困難な課題の一つとなります。
問題のある行動で教室の雰囲気を乱し、他の生徒の学習を阻害したり、授業計画を崩してしまう生徒がいることもあります。
そのような時にも生徒と向き合い、問題を管理し、すべての生徒が安全安心に学習できる環境を作る責任を担っています。
また、クラス内の人間関係が教師にストレスを与えることもあります。競争、対立、さらにはいじめなど、非常にセンシティブな問題に取り組む場面も多いです。
業務量の多さ
授業準備、保護者対応、試験問題の作成と採点、報告書の作成などなど、実際に授業を行う以外の場面でも多くの業務があります。
これらのタスクは学校の時間外にも及ぶことが多く、過労につながることがあります。
教員の労働時間の多さはニューズやSNSでもたびたび話題に上がっているくらい深刻な問題です。
文部科学省の調査「教員勤務実態調査(令和4年度)」でも、月の残業時間が45時間を超える中学教員は実に50%以上もいるという結果が出ています。
たとえば、土日の部活指導で休みなく働いていワークライフバランスが崩れてしまっている教員が多くいることが問題となっています。
期待とプレッシャー
教員はその職務上、学生の成績、学校や親からの期待、教育目標の達成や受験など、様々なプレッシャーを感じることがあります。
学校や教育委員会は教師に対して、一定の教育目標を達成することを要求しています。
また、教員は親からの期待に対する対応も求められます。
学生の成績が伸び悩んだり、生活態度に問題が発生した際などにも、親との話し合いなどでアドバイスや解決案を求められる場面も多くあります。
教育制度の変化
近年の 教育政策の変更、教育基準の変動、新しい教材の導入など、教育制度の変化に対応することはストレスをもたらすことがあります。
特に新しい教育指導要領が導入されるタイミングや、教育へのITの導入、探求学習など、限られた時間の中で教師自身が新たに学ぶことが多いこともあります。
たとえば、新学習指導要領要領で「主体的・対話的で深い学び」「探究」をはじめとした様々な新しいキーワードについて言及され、それらについて新しく研究する必要も出てきています。
コミュニケーションの問題
教師は生徒、親、同僚、管理職との間でさまざまなコミュニケーションを取る必要があります。
これらの関係における誤解や対立はストレスをもたらす可能性があります。
生徒や保護者のも様々であり、これらのニーズに対応していくコミュニケーションも負担になることがあります。
一般企業で働く中で感じるストレスにはどんなものがあるのか
業績のプレッシャー
一般企業では、教師とは異なる種類のプレッシャーと日々対面しています。
目標の達成や成果物の品質など、業績への厳しい要求があります。
企業の中で、従業員は会社の戦略的な目標や組織のビジョンを達成するために一定の成果を上げることが求められます。
これらの目標は、売上目標、プロジェクトの完了期限、新製品の開発、顧客満足度の向上など、極めて具体的なものであり、その達成度はしばしば定量的に測定されます。
達成できなかった場合、仕事の安定性や昇進の機会、さらには給与に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、これらの目標を達成するプレッシャーは、企業で働く人々にとって大きなストレスの源となることがあります。
職場の人間関係
同僚、上司、部下との人間関係や、オフィスの政治がストレス源となることがあります。
職場での良好な人間関係は生産性や仕事の満足度を上げる要因になりますが、対人関係の葛藤や不和は、労働環境を悪くし、仕事のストレスを増加させる可能性があります。
特に、上司との関係は、職場でのストレスの一大要因となり得ます。
上司が適切なフィードバックを提供しなかったり、不適切な期待を抱いていたり、または公平性に欠ける行動をとると、部下は自身の能力を疑い、自己評価が低下する可能性があります。
これらは、職場でのストレスを増大させ、仕事の満足度を低下させる可能性があります。
同様に、部下や同僚との関係も場合によってはストレスの源となります。
職務の不確実性
組織の再編やリストラなど、職務の不確実性や職場の安定性の欠如はストレスを生じることがあります。
特に近年では経済、社会の変化に伴う雇用制度の変化や、評価制度の変化など、一度就職すれば定年退職まで会社が面倒を見てくれると考えられていた時代とは状況が大きく変わっています。
まとめ
教員、一般企業に関わらず、人間関係やコミュニケーション、期待や目標の達成度等ののプレッシャーや環境の変化はストレスの要因となっています。
自分が今感じているストレスの根本的な要因がどこにあるのかを見極めた上で、どのような職場を選んでいくのかを考えることが大切です。