「働き方改革」というものを一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の影響で働き方改革が大きく進み、日本社会では現在在宅勤務やリモートワークなど効率性を重視した多様な働き方が取り入れられています。
そこで今回は福祉業界の中でもサービス管理責任者(サビ管)がリモートワークが可能なのかどうかを解説していきます。
福祉・介護業界のリモートワークの現状
福祉・介護業界のリモートワーク人口は少ない
現状行っている人は他業種に比べると少ないです。
(出典:「令和5年度 テレワーク人口実態調査」)
上記の図を見ると「医療・福祉」業界が一番テレワークの割合が6%前後と全業種の中で一番少なくなっています。
福祉・介護業界でリモートワークが少ない理由
ではなぜ福祉・介護業界でリモートワークの割合が少ないのでしょうか。
以下にその理由をまとめます。
対人援助サービスの特性
介護・福祉業界の中核業務は、利用者との直接的な接触を必要とする対人援助サービスです。
利用者さんの体調変化や緊急事態に迅速に対応するためには現場対応が重要です。
利用者さんと信頼関係を築く上で対面のコミュニケーションは必要不可欠となるため、基本的にサビ管は対面業務が基本となります。
また、移乗介助や排泄介助などは、実際に利用者の体に触れなければ提供できません。
そのため、多くの介護・福祉の仕事は現場での対応が不可欠となっているため、
リモートワークを導入することは非常に難しいと言えます。
IT化・ICT化への抵抗
介護業界は他業界と比べて従事者の平均年齢が高く、従来の紙ベースや印鑑文化で働いてきた人が多いです。
デジタルツールの導入に対する抵抗感が強くある人が多いのも特徴です。
そのため、IT機器に対する苦手意識を持つ傾向があります。
リモートワークで使用するオンラインツールを苦手とする方が多く、仮にオンラインで完結できる業務であったとしても、中々普及しない事態となっています。
また、新しいシステムやツールの操作に関する研修や教育が十分に行われていないため、職員がIT機器を使いこなせないという現状があります。
IT機器をうまく使うことで業務の軽減化や支援計画等の精度向上が期待できます。
固定観念の影響
上記のような背景から、そもそも多くの介護・福祉業界の従事者が、「障害者福祉だから」「介護施設だから」といった理由で、テレワークは不可能だと考えているケースも多いです。
「リモートワーク=怠ける」
現場で働いている場合は、職員がどのように時間を使っているかが目に見えます。一方で、リモートワークでは目に見えにくいため、上司や同僚が「きちんと仕事をしているのか」という不安を抱くことがあります。
そのためこのような固定概念を抱いている現場ではIT機器の導入がなかなかされません。
「自宅で働く=リラックスしている」
このような固定概念を抱いている人も一定数存在し、リモートワークは仕事の効率が低下すると捉えられています。
これらの固定観念が、新しい働き方の導入を妨げている可能性があります。
しかし、実際リモートワークを導入することで様々な効果が得られています。
・業務効率が上がり生産性が向上される
・時間の使い方が求められるため自己管理能力が身につく。
リモートワークの導入に不安を感じている場合はオンライン会議を行ったり、1日の達成目標を設定するなどすると解消されるでしょう。
サービス管理責任者はリモートワークは可能か
サービス管理責任者のリモートワークは結論「可能」になります。
令和6年の報酬改定で管理上支障が生じない範囲において、テレワークによる管理業務が可能になりました。
サビ管の仕事内容は多岐に渡りリモートワークが不可能なものもありますが、一部ではリモートでお仕事ができます。
以下に一例をご紹介します。
個別支援計画の作成
利用者さんのバックグラウンドについてある程度知っていれば、場所を問わず個別支援計画を作成することができます。
個別支援計画の作成のために必要なモニタリングなどは現場で対面で実施することがほとんですが、
支援計画書の執筆等は現場ではなくても実施できる業務です。(※後述のようにいくつか注意事項はあります)
関係機関との連携
zoomなどのオンライン会議ツールを用いれば、対面せずとも連絡をとることができます。
対面でどこかに集まって会議を実施するより、オンライン会議の方が移動時間や労働時間の縮小につながります。
その他事務作業
その他事務的な作業も、リモートで実施できます。
例えば、以下のような仕事が考えられます。
- 職員研修の計画や資料作成
- 職員への指導・助言の記録
- スタッフのスキルチェックや評価
- 関係機関との連絡調整の記録
ただし、リモートワークを行う際にはいくつか注意点があります。
※上記で説明したような利用者の処遇に支障が生じない事務作業などであればテレワークを実施することができます。
サービス管理責任者がリモートワークをする上での注意事項
直接処遇業務は不可
直接処遇業務とは利用者さんに直接的なケアやサービスを提供する業務のことを指します。
具体的には以下の業務を指します。
- 食事介助: 食事の準備、配膳、食べる際の介助、片付け
- 入浴介助: 入浴前の体温チェック、浴室への移動、洗体、着替えの介助
- 排泄介助: トイレへの移動、おむつ交換、衣類の処理
- 移乗介助: 歩行や車いすでの移動の補助、ベッドから車いすへの移乗
- 服薬介助: 薬の管理、服薬の確認
- 体位変換: ベッド上での体位変更の介助
直接処遇業務は利用者さんに対して行う業務のため、そもそもリモートワークができません。
利用者本人などの同意が必要
面談や面接を行う場合は、利用者本人の同意が必要になります。
リモートワークが可能だからといって、利用者の同意なしに勝手に行ってはいけません。
報酬加算の申請上、『対面』で行う旨が規定される場合
たとえば、家族支援加算では、面談場所等によって報酬加算の額が変わっています。(障害福祉サービス費等の報酬算定構造より抜粋)
この場合、報酬の請求の際に、事業所での対面や訪問で申請しているにもかかわらず、オンラインやリモートで実施してはいけません。
個人情報は適切に管理
リモートワークを行うということは、情報を外に持ち出すことになります。
そのため、個人情報の管理は厳重に行わなければなりません。
例えば以下のような基本的な対策も徹底して実施しておくことが推奨されます。
パソコンやスマホを安全に保つ
- 画面ロックを設定する
少し席を外すときでも、パソコンやスマホが勝手に操作されないように、パスワードやPINコードを設定しておく。 - ソフトウェアを最新の状態にする
パソコンやスマホ、アプリのアップデートを忘れずに行う。セキュリティの弱点が修正してくれます。 - ウイルス対策ソフトを入れる
無料でも使えるウイルス対策ソフトをインストールして、定期的にスキャンする。
個人情報を扱うときの注意
- 共有スペースで作業しない
カフェやコワーキングスペースで画面を他人に見られないように注意する。
必要なら画面を見えにくくするフィルムを使うと安心です。 - 家族や他の人に見せない
家庭内でも、家族や同居人に個人情報を見られないようにする。 - 紙の書類はきちんと保管する
メモや書類が必要な場合は、鍵のかかる場所にしまい、不要になったらシュレッダーで処分する。
インターネットの使い方を工夫する
- 無料Wi-Fiを使わない
公共の無料Wi-Fiは盗聴される危険があるため、インターネットは必ず自宅や安全なWi-Fiを使いましょう。 - 強いパスワードを使う
「123456」や「password」など簡単なものではなく、文字・数字・記号を混ぜたものを設定する。 - 怪しいメールやリンクを開かない
個人情報を狙う詐欺メールに注意。知らない人や怪しいリンクは開かないようにする。
作業の環境を整える
- パソコンを覗かれない場所で作業する
他人に見られる可能性のある場所では、画面の向きを工夫する。 - 使わないときはログアウト
仕事のアカウントや個人情報がアクセスされないように、作業が終わったら必ずログアウトしておく。 - 定期的にパスワードを変える
パスワードは数カ月に一度変更する習慣をつける。
リモートワーク可能なサビ管求人はあるのか?
上記のようにサービス管理責任者はリモートワークが可能であるものの、
実態としてはセミリモート等含めてもリモートワークが可能と謳っている求人はほとんどありません。
やはりサビ管の業務特性や業界の慣例上、報酬加算の仕組上、リモートでの勤務は可能ではあるものの、実際問題は実施するのは難しいと言えるでしょう。
ただし、以下に紹介する求人のような、特殊な仕事内容のサビ管であれば、リモートの求人はあります。
弊社運営サービス「療育ジョブ」ではサビ管の求人を取り扱っています。
以下に「療育ジョブ」で扱っているリモート求人の一例をご紹介します!
こちらはサビ管のリモートワークが可能な求人です。
土日祝休み/リモートワーク/実働7.0時間…など働きやすい環境が整っています。
時期によって求人情報が異なります。
求人の具体的な情報・最新情報はこちらをご覧ください(*募集が終了している可能性があります)
→サビ管_リモート求人
サビ管リモートワーク求人を探すポイント・注意点
サビ管のリモートワークが可能な求人の探し方について解説していきます。
ポイント
業務内容の確認
→書類作成、オンライン会議、スケジュール管理
こういった項目があった場合、リモートワークを行える可能性が高いです。
前提サビ管でのリモートワークは難しいですが、エリアマネージャーや人材育成であればリモートワークでも十分お仕事が可能です。
注意点
求められるスキルや資格
→ITスキル、リモート業務でのコミュニケーション能力、管理者
といったようなリモート業務に活かせる経験などがあるとさらにいいでしょう。
未経験でもリモートワークは可能ですが上記の能力があるとスムーズに仕事を進めることができます。
業務環境・条件の明記
→勤務形態、リモートワークに必要な設備、報酬や手当
リモートワークを行う上で労働条件の確認は欠かせません。
完全リモートorハイブリッド型・フレックス制度はあるのか。PCや通信費は会社が負担してくれるのか。
リモートワークを行う上で働き方や費用など事前に理解しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サビ管は一部を除いてリモートワークが可能ですがいくつか注意事項もあり、実際に導入されている事例は非常に少ないと言えます。
介護福祉業界のDX化が進めば、人材確保や離職率低下に貢献できると予想されるため、今後も注目していきたいですね!
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